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魚と野菜を育てる循環型農業 越来中の生徒らが挑戦 沖縄


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水槽の排せつ物を水耕栽培に生かす循環型農業「アクアポニックス」に挑戦する越来中学校の生徒ら=沖縄市の同校

 沖縄市立越来中学校の校舎の一角に、赤紫色の照明の下に豆苗(とうみょう)が水に浸された器と魚が入った水槽が並んだ場所がある。よく見ると器と水槽は市販のパイプでつながっており、水が循環している。ハイテク感と手作り感が共存する不思議な空間が「アクアポニックスクラブ」の活動場所だ。

 アクアポニックスは水産養殖(アクアカルチャー)と水耕栽培(ハイドロポニックス)を合わせた造語。魚の排せつ物を肥料に野菜を育て、浄化した水を水槽に戻す生産システムで、「地球に優しい農業」として注目を集めている。

 クラブの生徒は条件を変えた三つの水槽を毎日観察し、豆苗の育ち具合や魚の生育環境をデータに残している。比較することで最適な栽培環境が何か探っているのだ。

 クラブ発足から約1年。3年生は受験勉強のため引退し、1、2年生4人が研究を継いだ。

 豆苗の前はグリーンリーフに挑戦していたが、大きな葉が育つには水槽の養分だけでは足りなかったのか、枯らしてしまったことも。研究は手探りが続く。

 研究がSDGsのどの目標の解決につながるかも意識している。2年生の大里柚さん(14)、眞喜志ひのりさん(14)は「少ない水でも野菜が育てられる技術なので、将来、アフリカの乾燥地帯などで役立つのでは」と、学校の一角から世界規模の課題解決を見据えた。 (稲福政俊)