首里城 正月三が日には新春の宴を開催予定 火災から2カ月 悲しみいまだ癒えず


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首里城火災から2カ月。多くの人々が雨の中、首里城を訪れた=30日、那覇市の首里城公園

 那覇市の首里城で正殿などが全焼した火災から31日で2カ月を迎える。30日は朝から雨が降る中、大勢の観光客らが足を運んだ。北殿や、わずかな隙間からのぞく御庭内の龍柱を眺めながら涙を浮かべる人の姿もあったが、再建を望む声が多く聞かれた。

 「いざ目の前にすると言葉が出ない…」。茨城県つくば市の亀田優子さん(64)は涙で声を詰まらせる。マラソンやマリンスポーツで20回近く訪れ、最近5年ほどは年末年始を沖縄で過ごしているが、首里城に来るのは今回が初めて。今年の年末は1日かけて首里城を見学する予定だったという。「県外出身者ですら涙が出るんだから、地元の人は、さぞつらかっただろう」と視線を落とした。

 当初はほとんどのエリアに立ち入りできなかったが、現在は奉神門まで近づくことができ、御庭内も見られる。「あんなに立派だった正殿が跡形もないなんて信じられない」。夫が那覇市出身で、神奈川県横須賀市の伊佐千恵美さん(60)は肩を落とし、大阪府茨木市の林君子さん(76)も「目に見えたものがなくなるのは衝撃的や」と絶句。ただ、多くの人が「何年かかっても必ず再建してほしい」と語る。

 入園者数は火災前には及ばないものの、エリアの拡大で徐々に増えつつある。夜はライトアップを再開。「元気になるようなイベントを」との要望が多く寄せられ、例年より規模は縮小するが正月三が日には「新春の宴」も開催する。首里城公園管理センターは「本年度予定しているイベントも関係機関と調整しながら実施に向け取り組みたい」と抱負を語った。