【沖縄県、市町村の回答一覧】一括交付金アンケート


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 市町村アンケートでは、一括交付金配分の公平・公正性は確保されてきたと思うかを尋ねた設問に対し、8割近くに当たる32市町村が「そう思う」と答えた。

 ソフト事業の一括交付金の県と市町村双方の配分は毎年協議の上、決定する。本年度は県と市町村の配分は5対3。市町村分は、全市町村に1億円ずつ配分し、残りを人口や面積といった基本指標と、財政力や離島、年少人口などの配慮指標に基づいて各市町村に割り振る。

 配分の公平・公正性について9市町村は「そう思わない」「その他」と回答した。嘉手納町は「そう思わない」と回答した理由として「配分額は基本指標と配慮指標から構成されるが、町域の82%が米軍基地で占有され、狭隘(きょうあい)な土地の中でまちづくりを行っており、基地があるゆえの配慮指標がない状況だ」と指摘した。

 与那国町は「人口増に向けて努力したにもかかわらず、金額では7500万円の減額となった」と回答した。

 

一般財源化6割希望 使途自由度拡大求める

 一括交付金を地方交付税交付金のような一般財源として交付してほしいかとの設問には、6割に当たる25市町村が「してほしい」と回答した。その理由として「これまで対象ではなかった職員の人件費、公共施設の整備・維持費などにも充当可能となることから自由度が高まる」(うるま市)、「事務が簡素化され事務負担が軽減される。積極的な事業立案が可能になる」(国頭村)、「(現在の制度では)福祉教育分野への配慮が難しく、施設の維持管理費もかかる」(伊江村)など使途の自由度が高まることに期待する回答が多かった。

 「してほしくない」と回答した理由は「趣旨が異なる」(沖縄市)、「本来の目的が薄められるのではないか」(北中城村)など法律の趣旨と合致しないとの認識を示す回答が多かった。

 「その他」を選んだ自治体は「一般財源として交付されるのは望ましいが、交付金の趣旨と合致しないため実現は困難であると考える」(宜野湾市)、「事務は簡素化されるが、適正化、透明性の面から難しいと思われる」(座間味村)など現実的に厳しいといった回答が占めた。

制度廃止後の継続事業有無 9割「ある」、財源課題

 将来、一括交付金が減額や廃止されても、継続したいなどの事業があるかとの設問では、9割にあたる37市町村が「ある」と回答した。「ない」と回答したのは南大東村だけだった。

 ただ、継続したいと回答した自治体も「一括交付金で始めた事業の財源確保が問題で継続が困難。制度終了後の財源に課題」(西原町)など財源に課題を感じているという回答もあった。

 「ある」と回答した37市町村のうち、「成果が出るまで、中・長期的に取り組む必要があるため」(国頭村)など27市町村が教育分野の事業を挙げた。子育て、観光、離島の交通コスト負担軽減事業などを挙げた自治体もあった。

 一括交付金を使い、多くの市町村で学習支援員や特別支援員、公営塾の取り組みが進められてきた。県は、教員指導力の向上や各種支援員の配置により、学力・学習状況調査の平均正答率は改善し、小学校では初めて全国平均を上回ったと効果をまとめている。

 「その他」を選んだ与那国町は「一括交付金が減額、なくなる方向であれば今後の行政運営に難がある」とした。その上で、全てのエネルギーを自然エネルギーで賄うことや島内全電柱の埋設などを希望した。


沖縄振興一括交付金

 「沖縄振興一括交付金」のうち、沖縄振興特別推進交付金(ソフト)は沖縄の特殊事情に起因する事業が対象となる。交付率は10分の8。原則、内閣府から交付される。観光、産業インフラ整備、子どもの貧困対策、離島住民の負担軽減、学力向上・キャリア教育事業などの施策充実が図られた。

 沖縄振興公共投資交付金(ハード)は基盤整備の公共事業が対象。各省庁の交付要綱に基づき、原則各省に移し替えて交付される。交付率は既存の高率補助で10分の5.5~9。道路、港湾、下水道、住宅など社会資本整備、農業農村整備、学校、水道事業などに充てられた。