オール沖縄 衆院候補者選考 政党間で駆け引き激化 2区と4区、作業長期化も


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県議会本会議場を背景に(右から)大城一馬社大党委員長、照屋大河社民党県連委員長、有田芳生立憲民主党県連会長を組み合わせたコラージュ

 今年の冒頭あるいは東京五輪後の衆院解散がささやかれる中、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力は2019年内に結論を出せず、週明け6日以降、候補者選考を再開する。選考では、社民や共産、立民、県議会会派のおきなわなどの間での駆け引きは激しさを増しており、今後の情勢次第では政党間や党内の関係にも影を落としそうだ。さらに、立民が呼び掛けている国民民主と社民との合流を巡っても、6月の県議選に向けて影響が出始めており、「オール沖縄」勢力は立民を中心に新たな局面を迎えている。

■「団結」確認も

 「照屋寛徳氏は今期限りで引退します」。社民県連の照屋大河委員長は12月24日に行われた与党の各党会派会議で衆院沖縄2区現職の寛徳氏の引退を正式に報告した。大河氏によると、会議では、次期衆院選の全選挙区での勝利に向けてオール沖縄が「一致団結」していくことを確認した。だが、候補者擁立を巡っては、さまざまな思惑が交錯している。

 2区の選考では、社民県連幹部や寛徳氏後援会幹部でつくる選考委員会が昨年6月に北中城村長の新垣邦男氏の擁立を全会一致で決めたが、手続き論などを巡り党内から反発が相次ぎ、収拾がつかない事態に陥っている。

 ただ、今月から寛徳氏を含む県連顧問団も議論に加わることになったため、事態の早期収束に期待の声が上がる。県連幹部の一人は「顧問団の多くは新垣氏を支持している。これで社民党内の対立は終わる」と見通す。

 ただ、会派おきなわは「2区は社民の議席ではない」として、与党による選考委員会の設置を求めており、2区を巡っては今後も波乱含みとなっている。

 一方、先月27日に南城市内で開かれた沖縄4区の候補者選考委員会では、引き続きスピード感をもって選考作業を進めることを確認した。早ければ11日の会合で出席者による無記名投票で候補者を絞り込む見通しだ。独自の候補者を出したい立民は党内議論が終わっていないとして投票方法含めて検討中としており、立民の出方次第では選考作業が長期化する可能性もある。

 選考委員長の大城一馬社大党委員長は「スピード感をもって候補者を決めたいが政党の考えに違いもあり、場合によっては2区よりも時間がかかる可能性もある」と話した。

■県議選の公募

 立民は次期県議選でも存在感を示しつつある。「立憲民主県連は県議選の候補者を公募します」。立民県連会長の有田芳生参院議員は先月26日、自身のツイッターで県議選の候補者を公募すると表明した。書き込みに先立つ同21日の県連役員会では、公認候補を擁立した那覇市・南部離島区以外の複数の選挙区でも候補者を擁立することを確認した。

 立民が候補者を呼び掛けた6選挙区(沖縄市区、宜野湾市区、浦添市区、うるま市区、国頭郡区、島尻・南城市区)のうち、宜野湾市など複数の選挙区で応募が来ているという。

 立民の方針に対して与党内からは「『オール沖縄』内のつぶし合いで自民が利する結果になったら目も当てられない」などと立民の動きをけん制する発言が相次ぐ。与党のけん制に対して立民県連幹部は「県内の各政党から推薦願いが出ているが、ほかの政党に配慮してわれわれが候補者擁立を自制する必要はないと判断した」と反論する。県議選を巡り与党内できしみが生じている。
 (吉田健一)