IR疑惑 下地幹郎氏の離党届の思惑は?


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IR事業を巡る汚職問題で離党届を提出したと説明する下地幹郎衆院議員=7日午後8時すぎ、那覇市おもろまちの事務所前

 日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、維新の下地幹郎衆院議員が離党届を提出したのは、党のイメージ悪化や自身への批判をかわし、次期衆院選への影響を最小限にとどめたい思惑がある。議員辞職については保留し、今後も政治活動は続けていく意向を示した。議員生活を続けた場合と辞めた場合のどちらが利するか、てんびんに掛けているとみられる。

 6日の下地氏の会見では矛盾とも取れる発言が相次ぎ、7日の記者団とのやりとりでも疑惑の全容解明には至らなかった。現金の受領を「覚えていない」とする一方、現金を送った中国企業の元顧問の男=贈賄容疑で逮捕=が中国企業幹部との認識はあったとしながらも献金はあくまで「個人献金」との認識を示したことなどだ。下地氏がどのような決断を下そうとも説明責任を果たす必要がある。

 日本維新の会は、企業・団体からの献金の受け取りを禁止し、IR関連事業者の場合は個人からの受け取りも禁止している。党が離党届を受理せず、除名処分とする可能性もある。

 国会議員が不祥事を起こした場合、離党しても議員を続けるケースや辞職することもある。最近の事例では、「戦争発言」で批判を浴びた丸山穂高衆院議員が、当時所属していた日本維新の会に離党届を提出した。維新は受理せず除名処分としたが、丸山氏は現在も議員を続けている。元秘書への傷害と暴行の容疑で書類送検された自民党の石崎徹衆院議員は、議員辞職も離党も拒否した。

 下地氏が今後、進退をどう判断するか注目されるが、議員辞職をせず離党届だけをもって「みそぎ」とするのなら、批判はさらに強まりそうだ。
 (吉田健一)