社会

響き渡る豚たちの鳴き声、白い防護服…処分急ぐ作業員「心痛む」 沖縄で豚コレラ

道に消石灰をまき消毒作業をする防護服に身を包んだ作業員ら=8日午後2時すぎ、うるま市昆布(新里圭蔵撮影)

 舞い上がる消毒用の消石灰、響き渡る殺処分を控えた豚たちの鳴き声―。豚コレラ(CSF)の沖縄県内感染がうるま市内で確認された8日、感染豚が見つかった養豚場周辺などでは、白い防護服に身を包んだ行政職員や自衛隊員らが対応に追われる物々しい光景が広がった。“県民食”とも言える豚肉に降りかかった危機的状況に、飲食店や消費者からは被害拡大や風評被害を懸念する声が上がった。

 うるま市で豚コレラ感染が確認された8日、飼育している豚の殺処分が行われた養豚場付近や市内の防疫ステーション、埋却地では、慌ただしく作業に取り組む県職員や関係者らの姿があった。

 風に揺れる草木に囲まれた同市内の丘陵地にたたずむ養豚場。殺処分を前に周辺には防疫用の消石灰がまかれ、風に舞った粉じんが充満した。豚の激しい鳴き声が辺りに響きわたり、次第に弱々しく断続的になった。

 周辺に住む男性(46)は防護服の作業員を目の当たりにし、「こんな近くで」と驚いた。「飼い主は大打撃だろう。行政は正確な情報を早めに提供してほしい」と求めた。

 防疫ステーションとなった具志川総合体育館。早朝から県職員が防護服などの準備を進めた。体育館を拠点に、殺処分に従事する県職員や埋却地で掘削作業に当たる建設関係者らが次々と現場へ向かった。

 前日に急きょ声を掛けられたという男性は「こんな作業は、初めてだ。沖縄で大事にされている豚を埋める場所を掘るなんて、心が痛む」と、寂しそうに語った。

 埋却地に指定された市有地では、県建設業協会が樹木の伐採を始めた。県磁気探査協会が不発弾などの危険物を調査した後、土木作業員らが掘削作業に取り掛かる。二つの穴の掘削作業が急ピッチで続けられた。

 中部農林土木事務所の桃原聡所長は「緊急の非常事態で臨機応変に対応しないといけない。明朝8時までの作業完了を目指すが、安全を最優先に作業を進める」と気を引き締めた。

 管理者が所有する別の養豚場は発生場所から約2・5キロの距離。発生は確認されなかったが、432頭が殺処分される。午後3時すぎ、防護服の疫学調査チームが訪れ、管理者から飼育状況を聞き取った。

 報道用ヘリが上空を飛び回り、住民らは不安げな表情で養豚場の横を通った。70代の女性は「豚は沖縄の食生活には欠かせない。影響が心配だ」と話した。



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