【識者談話】豚コレラ、沖縄で拡大の可能性も 佐野文子・琉大農学部教授 終息するのは…


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佐野文子氏

 国内でも中部地方を中心に1年以上感染が終息せず、いつどこで発症してもおかしくない状態だった。県内で感染が拡大している可能性はゼロではなく、慎重に対応する必要がある。親戚や同業者などで(養豚場の)様子を見に来る人がいるかもしれないが、感染拡大につながる恐れがある。関係者以外の人の出入りをなくすことが大事だ。

 豚コレラが発生した都道府県はワクチン接種の対象になる。全国でワクチンの需要が高まっており、入手が難しくなってくるケースも考えられる。終息に向かうためにも接種はなるべく早い方が良いだろう。

 豚コレラウイルスは、感染して1日で死亡するタイプもあれば、下痢などの症状から始まって死亡までに数週間かかるタイプもある。解析結果が判明すれば感染経路も少しずつ分かってくる。現在県や国で遺伝子解析をしているはずだが判明するのに2週間ほどかかる。感染ルートに関して県外はイノシシが媒介する可能性もあったが、沖縄は衣服や車両に付着するなど人が運んだ可能性が考えられる。

 今回の養豚場はハサップ(食品衛生管理の国際規格)の認証を受けていない。もし認証施設であれば、飼料や作業記録がデータで残っているため移動経路も明らかになりやすい。今後ハサップの重要性も増すだろう。