横田基地周辺でもPFOS検出 井戸水から19倍の高濃度 東京都が注意喚起


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 【東京】東京都が昨年1月に米軍横田基地(福生市など)周辺の井戸4カ所で水質を調査したところ、PFOS、PFOAなどの有機フッ素化合物が高濃度で検出されていたことが6日、都福祉保健局への取材で分かった。うち1カ所では両物質合わせて1リットル当たり1340ナノグラムと、米国環境保護庁(EPA)の勧告値(70ナノグラム)の19倍に達した。県内の米軍基地周辺でもPFOSなどが高濃度で検出され問題となっているが、県外の基地周辺でも確認された。

 都は横田基地でPFOSなどを含む泡消火剤が漏出していたとの報道を受け、昨年1月に基地周辺の井戸4カ所で調査を実施した。

 その結果、立川市で両物質を合わせて同1340ナノグラム、武蔵村山市で同143ナノグラムを検出した。

 そのほかの2カ所では同70ナノグラムを下回った。

 都によると高濃度で検出された2カ所は昨年1月時点で飲料用に使われていない。10年度の調査でもそれぞれ同1130ナノグラム、同340ナノグラムを検出していた。

 福祉保健局は井戸の持ち主に対し、調査結果とともに諸外国の指針値などを伝えて注意を喚起している。

 一方で、厚生労働省が目標値などを示していないことから「飲まないでほしいとは、言いづらい」として、国の目標値策定作業を見守る考えを示した。

 都は今回の4カ所とは別に、多摩地域で毎年50カ所以上で井戸の水質調査を続けている。昨年1月の調査で千ナノグラムを超えたのは横田基地周辺の立川市1地点のみだったが、100ナノグラムを超えた地点は、横田基地周辺以外でも複数カ所あったとしている。

 都基地対策部は「地下水脈は複雑で、(発生)原因は特定が難しい」との見解を示した。一方、一部報道を受けて2018年12月、防衛省を通じ基地内の調査結果について米軍に情報提供を打診しているが、返答がないままだという。