ワクチン接種に慎重な沖縄県 畜産業者は早期実施を要望


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 うるま市や沖縄市での豚コレラ感染を受けて、県は発生場所から10キロ圏内で実施する家畜検査の動向を見ながら、ワクチン導入の可否を判断する。10キロ圏内には養豚場が51カ所あり、検査が全て完了するまでに長期間を要する可能性もある。その間の感染拡大を懸念する県内の畜産業者からは、早期のワクチン接種を求める意見が上がっている。

 一方でワクチンを接種すると、豚などの移動や流通が制限される。昨年にワクチン接種を実施した静岡県では、養豚業者などで合計2億7900万円の販売額減少を見込んでいる。

 ワクチン接種で豚コレラの発症を抑える効果などが期待される一方で、豚の体内にウイルスが入り込むことから、未接種の個体に感染を広げる懸念もある。

 県畜産課の仲村敏課長は「(接種で)正常地域を汚染する可能性もある。予防のためにワクチンを接種するなら、県内全ての豚を対象にする必要がある」と指摘。ワクチン接種のメリットとデメリットを比較し、実施の是非について農家や農業団体の意見を慎重に集約する必要があるという立場をとる。

 うるま市から沖縄市への豚コレラ感染の広がりに、県内の畜産関係者には「みんな状況を深刻に受け止めている」という焦燥感も広がっている。ある畜産業者は「規模の大きな養豚場にも感染が広がった。感染経路が不明なのでワクチン接種を急いでほしい」と語る。