豚コレラ殺処分6683頭 県全体の3・2%が対象に  沖縄市でまた感染確認


この記事を書いた人 Avatar photo 高良 利香
うるま市内で殺処分された豚の埋却作業が完了した=11日午前9時50分ごろ、うるま市(小型無人機で撮影)

 沖縄県内で豚やイノシシの感染症、豚コレラ(CSF)の感染が発生している件で、県農林水産部は11日、うるま市での発生に関連して、沖縄市内の養豚場の豚から陽性反応が出たことを明らかにした。隣接する養豚場と合わせて1897頭が殺処分の対象となる。沖縄市内での感染確認は10日に続いて2件目となった。これで豚コレラ感染に関連して殺処分される豚は6養豚場で合計6683頭となり、県全体の飼育数20万6828頭(2018年12月末現在)の3.2%に上っている。

 県内で1986年以来となる豚コレラの発生が確認されたうるま市の養豚場で飼育される豚2001頭については、11日までに殺処分と埋却などの初期防疫作業は11日に完了した。一方で、10日に感染が確認された沖縄市の農場では2785頭の殺処分が始まったものの、埋却地が依然として確定せず、初動の防疫作業に支障を来している。

 11日に陽性を確認した沖縄市の養豚場は、8日に2例目の感染が確認されたうるま市の養豚場と所有者が同じで、車両の行き来などがあったという。うるま市での感染確認後、関連する養豚場も感染の疑いがあるとして、県は監視下において状況を調べていた。9日に沖縄市の養豚場から豚の異常について通報があり、検査で感染を確認した。

 この養豚場に隣接する養豚場との間で道具の共同使用などがあったため、感染の疑いが強いとして二つの養豚場が殺処分の対象となった。

 国と県は、人や物の行き来があるうるま市の養豚場と関連した感染と見なし、新たな発生事例としては計上していない。

 県は11日午後4時から、対策本部会議を開いた。玉城デニー知事は「豚やイノシシの病気であり、人に感染することはない」と冷静な対応を呼び掛けるとともに、豚コレラの感染拡大を防ぐワクチン接種については「周辺の養豚場の感染状況を確認した上で、農家の方々の意見も聞きながら検討する」と述べるにとどめた。

 県は引き続きうるま市の発生場所から10キロ圏内で実施する家畜検査の状況を見ながら、ワクチン接種の是非を判断する。

 11日に豚コレラ感染が確認された二つの養豚場について県は13日までに殺処分を終えて、15日までに埋却や豚舎の洗浄・消毒など防疫措置を完了する予定。殺処分した死骸の埋却場所は、養豚場の敷地内になるとみられる。