駐留経費、米韓の交渉が大詰め 負担5倍要求で一時決裂もその行方は…


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 在韓米軍駐留経費負担を巡る米韓協議が難航し、妥結の期限だった年末を過ぎた。韓国の聯合ニュースは13日、交渉が前進し、15日までワシントンで協議が行われると伝えた。米韓協議の内容は、今年から本格化する在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)協議に影響するとみられている。

■「大金を払っている」

 韓国は2019年の駐留経費負担の協議で、前年比約8・2%増の約1兆389億ウォン(約970億円)を負担することに合意した。同時に、負担割合を決める特別協定の有効期間を5年から1年に短縮した。このため期限が切れる昨年末までに新たな協定を結ぶはずだったが、米側が現在の5倍の負担額を要求したことに韓国が反発。交渉は一時、決裂した。

 これは日本にとって対岸の火事ではない。在日米軍の特別協定は21年3月に期限が切れる。米国は日本にも既に現在の4倍の額を要求。トランプ大統領は昨年12月、安倍晋三首相に「日本は豊かな国だ。われわれは日本の防衛に大金を払っている」と負担増を直接迫った。

■米議会も懸念

 こうしたトランプ流の強引な交渉に、米議会や米政府内から懸念が聞かれる。米下院は11月、軍事委員長と外交委員長の連名で担当長官に対し「同盟関係を危うくするようなやり方で交渉すべきではない」と書簡を送った。12月に成立した国防権限法には「共通利益と相互尊重に基づいた過去の交渉の精神にのっとって行われるべきだ」と記載。国防総省当局者の間でもいら立ちが広がっていると米CNNは報じた。

 日本は既にトランプ政権の求めに応じてF35戦闘機の大量購入や地上配備型迎撃システム、イージス・アショアの配備を決めている。米議会調査局によると、日本は防衛装備品の90%以上を米国の会社から調達している。9300億円との試算が発表された名護市辺野古の新基地建設の総工費は、日本が100%負担する。やがて始まる思いやり予算の日米協議では、互いの直接的、間接的な「貢献度」を盾に応酬することが予想される。
 (与那嶺路代本紙嘱託記者)