豚コレラ4例目確認 沖縄県うるま市の養豚場 陰性から一転 県、ワクチン接種議論へ


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 沖縄県内で豚やイノシシの感染症、豚コレラ(CSF)が発生している件で、沖縄県は15日、うるま市内の養豚場で新たな感染を確認したと発表した。8日に県内で最初に感染を確認した養豚場から100メートルの場所にあり、殺処分の対象は1825頭(速報値)。沖縄県内での発生は4例目で、殺処分数は計9千頭を超える見通しとなった。県は同日、国や市長会、町村会、JA、畜産団体、有識者で構成する「県CSF防疫対策関係者会議」を設立した。今後、ワクチン接種も視野に入れて感染拡大の防止を議論する。

 うるま市や沖縄市では14日までに、豚コレラ関連で6養豚場の7326頭(同)が殺処分された。

 県は豚コレラの感染場所から3キロ圏内の養豚場を対象に家畜検査を実施し、全てで「陰性」だったと結果を発表していた。今回の養豚場も陰性の反応が出ていたが、14日になって「豚が死んでいる」との通報があり、検査の結果、15日に陽性を確認した。

 陰性の結果が出た後に豚コレラが発生した理由について、県の担当者は「潜伏期間もあるし、(養豚場の)環境内にウイルスが残っている可能性も否定できない」と説明する。新たに感染を確認した養豚場では17日までに殺処分を完了させ、19日までに埋却などの防疫措置を終える計画を立てている。埋却場所は養豚場の敷地内を予定する。

 県が設立した防疫対策関係者会議は長嶺豊農林水産部長が議長を務め、豚コレラの防疫措置を総合的に話し合う。玉城デニー知事は「ワクチン接種を含めて県のCSF対策を総合的に議論したい」と強調した。

 一方で、県養豚振興協議会やJA沖縄中央会などが江藤拓農相に早期のワクチン接種に協力を要請するなど、県内の畜産関係者からワクチン接種を求める声が上がっている。

 豚コレラの発生以降、県の家畜保健衛生所には感染の疑いに関する通報が1日に3~4件、寄せられるという。

 発生前は1件の通報もない日もあり、県の担当者は「感覚として以前に比べて10倍ほどに増えた」と説明する。緊急性が高いと判断された場合、すぐに職員を派遣して検査などを進めている。