仕事人間だった彼が2度の脳出血で倒れ、半身まひに リハビリ重ね、車いすでマラソン挑戦するまで


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日々リハビリに挑み「支えてくれる家族に感謝したい」と語る高良義明さん(前列右から2人目)家族ら=19日、本部町の海洋博公園

 【本部】時折冷たい風が吹きつける中、19日に開催された第41回海洋博公園全国トリムマラソン大会(主催・国営沖縄記念公園事務所、同大会実行委員会、共催・本部町、沖縄美ら島財団、琉球新報社)。会場はベビーカーを押す家族連れや個性的な衣装を身に着けた同僚らが笑顔で出発し、思い思いのペースでゴールを目指した。

 車いすで人生初マラソンに挑んだのは、右半身にまひのある高良義明さん(47)=那覇市。家族4人と兄家族と共にファミリーエンジョイ公園コース3・5キロを歩み、爽やかな風を浴びた。

 1年半前、2度目の脳出血で倒れ、右半身まひと言語能力に障がいを抱える失語症の後遺症が残った。「まさか自分がこうなるとは思ってもみなかった」

 当時、飲食店で勤務していた義明さんが帰宅するのは深夜2時。「仕事人間だった。今考えると子どもたちの面倒を見る時間もなかった」と振り返る。

 今回参加を決意したのは兄・稲造さん(55)=うるま市=の誘いがきっかけだ。稲造さんは「外に出て、いろんな人の頑張る姿を見る機会にしてほしかった」と温かなエールを送る。

 自宅や施設でリハビリを重ねている義明さん。しゃべりづらさを感じる時もあり「まだ満足していない」と向上心をのぞかせる。この日は同じく初マラソンの長男・煌(ひかる)さん(8)と次男・奏(かなた)ちゃん(3)も寄り添いながらゴールをくぐった。「今は子どもたちの成長も見え、家族が心の支えになっている。楽しい大会になった」とほほ笑んだ。