基地からの騒音、排ガスで健康被害を調査 沖縄・嘉手納町が13年ぶり実施


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 【嘉手納】米空軍嘉手納基地からの騒音や排ガスによる健康被害などの実態把握に向け、嘉手納町が基地周辺住民への聞き取り調査に着手した。町独自の調査は13年ぶり、2度目。職員が町内6行政区の300世帯を訪問し、航空機騒音や排ガス、悪臭などによる身体的・精神的被害がないか具体的に聞き取りする。調査結果は年度末にもまとめる方針で、日米両政府に基地負担の軽減や改善を求める際の基礎資料として活用する考えだ。

 世界では騒音被害やリスクに関する基準が厳格化する中、県内の基地周辺での健康被害は実態が十分に把握されておらず、行政による住民対象の実態調査も10年以上行われていない。町は2006年度の前回調査から13年が経過し、嘉手納基地を巡る状況や軍の運用も日々変化する中、現状を把握する必要があるとして調査に乗り出した。

 質問項目は難聴の有無や睡眠への影響、排ガス、熱風によって体に異常を来したことがあるかなど前回調査を踏襲した。これに加え近年、深刻化している悪臭問題や、海軍駐機場の移転に伴う被害の変化に関する質問も新たに設けた。

 町基地渉外課の當山哲也課長は「職員が町民と直接面談して聞き取ることで、騒音の数値や苦情件数だけでは分からない具体的な被害実態が把握できるはずだ。調査結果を基に周辺環境の改善につなげたい」と述べた。
 (当銘千絵)