豚熱で衛生管理の徹底を求める 養豚農家に農水省調査チーム 感染拡大防止策を提言


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 農水省の疫学調査チームは、沖縄への豚熱(CSF、豚コレラ)ウイルスの侵入時期や感染経路を絞り込んだことを受け、(1)飼養衛生管理の再徹底(2)生肉を含む残さの加熱(3)農家の即時通報や、家畜保健衛生所が日頃から農家と連絡体制を構築―といった予防策を提言した。感染拡大防止に向け、農家に衛生管理水準の底上げを求める内容となった。

 県内1例目(うるま市)のウイルスの全遺伝子情報を解析した結果、昨年1月に岐阜県で死亡したイノシシから見つかったものと近く、調査チームはウイルスは国内の発生地から侵入したと分析。だが、本州に沖縄への侵入源になった農場はないと見られており、ウイルスを含む豚肉製品などがどこから持ち込まれたかは不明だ。感染した豚肉は市場に出回らないとするこれまでの説明とは矛盾するが、農水省は「(豚熱を)発症する前に出荷される可能性は低いがあり得る。潜伏期間中の感染症を見つけることはできない」と検査の限界を指摘した。

 県内1例目の農場が、非加熱の残さもエサとして豚に与えていたにもかかわらず、2018年の調査で県に対し「加熱したものを使っている」と報告していたことも発覚した。他の農場も防鳥ネットの不設置や出入りする車両の消毒が不十分だったことなどの問題点が指摘された。

 農水省によると、エサとして残飯を使っている養豚農家が2018年度時点で全国で262戸あり、うち沖縄が61戸を占める。

 農水省牛豚等疾病小委員会の津田知幸委員長は「リスクはCSFだけでなく(ワクチンがない)ASF(アフリカ豚熱)でも同様だ。残さの(加熱)処理を早急にしていただく必要がある」と述べ、県内農家の飼養衛生管理の向上が必要だと強調した。