「国民の人権に立った改定を」 日米地位協定60年で全国の地方議員が声明発表【声明要旨】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 全国の地方議員でつくる「自治体議員立憲ネットワーク」(立憲ネット)とその沖縄支部「同おきなわ」は23日、那覇市で記者会見を開き、日米地位協定の見直し・改定を求める声明を発表した。地位協定締結60年を迎えるいま「主権国家として国民の人権や自治の立場に立った見直し・改定が政府に強く求められている」と述べた。会員が所属するそれぞれの都道府県議会や市町村議会で改定を訴える意見書可決に取り組むことを確認した。

声明を読み上げる自治体議員立憲ネットワーク共同代表の玉田輝義大分県議(左から2人目)=23日、那覇市の県水産会館

 声明は、地位協定の問題は「日本の自治体や住民の安心・安全を脅かしている」と表現。一方、基地が集中する沖縄で最も深刻かつ直接的に現れていると指摘した。

 問題の理解が深まっていない背景として県外に住む人々が『沖縄問題』として遠ざけてきたことがあると説明。「『本土』の立憲ネットの議員も大きく重い責任を有している。私たち全員が沖縄基地問題や地位協定問題の解決を担う当事者だ」と強調した。

 今後、会員同士の連携を強化しながら、地域活動を通じて地位協定の抜本的見直し・改定に向けた運動を進めていく。声明には名護市辺野古の新基地建設に反対することも盛り込んだ。

 立憲ネットは全国の都道府県議や市町村議800人余で構成する。23日は沖縄研修として地位協定を学んだほか、辺野古の基地建設現場での座り込みにも参加した。


<自治体議員立憲ネット声明(要旨)>

 全国知事会全国市議会議長会で日米地位協定改定の必要性がうたわれ、地位協定が沖縄だけでなく日本の自治体・市民の安心安全を脅かすという認識は広がりつつある。しかし日本全体の問題であると同時に、その矛盾や問題は、基地が集中する沖縄で最も深刻かつ直接的に人権や自然環境を脅かす形で現れている。今回の沖縄研修でその実態を改めて認識できた。

 県の調査報告を受け、日米地位協定が著しく不平等であることを共通の認識にできた。政府は改定の要求を掲げず、むしろ米軍の超法規的運用を擁護し、協定から読み取れないような特権を合意議事録で保障してきた。国民を欺いた歴史の検証と説明責任、国民の人権や自治の立場に立った見直し・改定が、協定締結60年を迎えた今こそ強く求められている。

 「沖縄が日本に甘えているのか、日本が沖縄に甘えているのか」という翁長雄志前知事の言葉は政府だけでなく国民一人一人にも向けられている。「本土」の立憲ネットの議員全員も沖縄にこの現状を強要している政治に大きく重い責任を有している。私たち全員が沖縄基地問題と地位協定問題の解決を担う当事者だ。

 地域活動のあらゆる機会を通じて運動を進める。立憲ネットが超党派および無所属の議員のネットワークであることを最大限に生かし、全国の会員、とりわけ沖縄と「本土」側会員との連携をさらに強化する。会員が所属する各自治体議会への働き掛けを強め、与野党を超えて地位協定の抜本的見直し・改定に向けた意見書採択につながるよう取り組みを推進する。