高率補助、一括交付金、振興税制は今後も必要 沖縄県審議会、沖縄振興制度で知事に答申


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沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)等総点検報告書の答申を玉城デニー知事(右)に手渡す県振興審議会の西田睦会長=27日、県庁

 県振興審議会の会長を務めている琉球大の西田睦学長は27日、県庁で玉城デニー知事に対し沖縄21世紀ビジョン基本計画(沖縄振興計画)等総点検報告書の答申を手渡した。答申は、公共事業の国庫補助額をかさ上げする高率補助制度、県や市町村の自主的な選択に基づく一括交付金制度、酒税や揮発油税軽減などの沖縄振興税制について今後も制度の活用が必要だとした。

 西田会長は「答申の取りまとめを通じて感じたのは、これまでの沖縄振興施策の推進により、多様な分野で多くの成果が認められ、振興の各種制度が有効に寄与している。その一方、いまだ解決に至らない課題も多く残されている」と述べ、制度を活用した課題解決と沖縄振興の必要性を強調した。その根拠として、鉄軌道整備が進まず、公共交通が脆弱(ぜいじゃく)で道路の量的な整備が必要であることや、日本復帰後に集中的に整備された社会資本の大量更新が必要になっていることなどを挙げた。

 一括交付金については「地方自治体の主体性が最大限に発揮できる一括交付金制度の戦略的活用が必要不可欠だ」とした。税制は、近年のビジネス環境の変化などに応じた制度の見直しも必要だとした。

 玉城知事は「沖縄振興制度が今後も重要であるという意見は重く受け止めている」と述べ、3月までに取りまとめる最終報告書を踏まえ、来年度から新たな振興計画の県案作成に着手する考えを示した。