西地区2位と好位置 〝激動〟の前半戦乗り切る 【19-20キングスリポート】


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選手に大声で指示を与える藤田弘輝ヘッドコーチ(HC)=2019年12月21日、沖縄市体育館

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスは今季の全60試合中31試合を消化し、レギュラーシーズンを折り返した。昨年11月に大黒柱のジョシュ・スコットがけがの手術のため退団し、12月にはヘッドコーチ(HC)が電撃交代。そして、コンディション不良で1カ月以上続く田代直希主将の長期離脱。“激動”の前半戦ではあったが、成績は9連勝を含む21勝10敗で西地区2位と好位置に付ける。チームの現状を探り、後半戦を展望する。 (長嶺真輝)

■読みと反応

 26日、横浜戦後の記者会見。「今は壁にぶち当たっている。みんながもがいてる時期だと思う」。司令塔の並里成は変化に対応しようとするチームの現状をこう分析した。

 前半戦最大の出来事は、佐々宜央前HCの突然の退任だろう。チームカラーそのものに影響を及ぼす指揮官の交代は、どのような変化をもたらしたのか。後任の藤田弘輝HCは昨年12月の就任会見で、自身の“色”について「全員で攻める姿勢、意識をつくりたい」と語った。堅守という武器を継承しながら攻撃力の底上げを描く。

 攻撃で掲げるのが「リード&リアクト」(読みと反応)と呼ばれる戦術だ。ボールマン(ボールを持つ選手)以外の4人がボールマンの意図を読み、連動して動く。ピック&ロールや内外の攻め分けなど、ある程度の決めごとの範囲内で攻め、比較的自由度は高い。岸本隆一は「選手の思い切りが良くなっている」(10日、公開練習)と変化を実感する。ただ3連敗もあった直近5試合は今季の平均80得点を下回っており、連係にはさらに磨きをかける必要がありそうだ。

■強豪の壁

 貯金11と大きく勝ち越すキングスだが、強豪には分が悪い。勝率が5割を超えているチームとの対戦は大阪、東京、川崎、宇都宮と計7試合あったが、成績は1勝6敗。チャンピオンシップ(CS)も見据え、この壁を破りたい。

 最近の試合では、各チームともインサイドで高い得点力とリバウンド力を誇るジャック・クーリーへの対策が進む。ゾーン守備を敷くチームも多く、その際にはキングスの攻撃が停滞する場面も多い。

 クーリーがベンチに下がっている時の攻撃も課題であり、藤田HCは「インサイドが弱くなるので、バックカット(守備の背後に飛び込む動き)などを意識し、試行錯誤しながらやっている」(26日、横浜戦)と人とボールが動く連動性を重要視する。強豪との対戦では岸本や並里らエースガード陣が抑えられる場面も多いため、その他の選手がいかに存在感を発揮できるかが今後の鍵を握る。

 ハードな守備やボールへの強い執着心でチームをけん引する田代主将は今月に入ってベンチ入りしているが、藤田HCが「出せる状態なら使っている」と言うように、まだ起用の見通しは立っていない。3連敗した第27~29戦では守備の基礎となるハードワークの停滞を試合中に修正できなかったため、主将不在の中、自他を鼓舞する意識が各選手に求められる。

 29日には西地区で勝率が並ぶ大阪戦があり、2月1、2の両日には天皇杯王者の渋谷とぶつかる。CS進出を懸けてより激しい戦いが予想される後半戦を占う上で、重要な試合が続く。