教育長「適格者主義はある」 重度知的障がい者の高校受験で 定員内不合格の制度を維持


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 知的障がいのある仲村伊織さん(17)の県立高校入試を巡り、家族や支援者と県教育委員会が1月30日に開いた交渉の場で、平敷昭人県教育長は「適格者主義はある。沖縄県は空き定員があれば入れるという方針にはなっていない」と述べ、高校の教育課程を履修できる見込みのある生徒のみの入学を認める「適格者主義」の下で定員内不合格が出る入試制度を維持している見解を示した。

 適格者主義は高校進学率が約67%だった1963年の通知で文部省(当時)が示した。進学率が94%に達した84年には、一律に能力・適性があることを前提としない方針に転換。2011年には県教委自身も定員内不合格をできるだけ出さないことを求める文書を県立高校校長に通知していた。

 また、交渉の場では仲村さんの昨年の受験の際、家族側に十分な説明がないまま、県教委が特別支援教育の専門家として琉球大学の准教授に立ち会いを依頼していたことが分かった。

 県教委は准教授の役割について「受験が成立しているかどうかを見てもらうためだった。合否の判定には関与していない」と説明した。

 立ち会った准教授は琉球新報の取材に「ご家族には確認したということで、県教委から依頼があった。様子を見ていただけで、合否の判定には関わっていない」と話した。

 家族や支援者は「紹介はされたが、何でその場にいるのか説明は受けなかった。特別支援教育を推進する側の人だと思うと不信につながる」と訴えた。