豚熱ウイルス封じ込めの困難さ露呈 初動防疫後に発生、感染源として浮上しているものは…


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 2日に沖縄市内で確認された県内5例目となる豚熱(CSF)は、1月15日に4例目の感染が確認されてから18日ぶりの発生となった。1月後半は新たな感染がなく、発生農場で全頭殺処分と豚舎消毒の初動防疫を徹底したことで終息に向かっているとの見方もあっただけに、感染力の強い豚熱ウイルスの封じ込めの難しさが突き付けられた。

 1月8日のうるま市内での初確認から4例目までは8日間に集中していた。そこから期間が空いた5例目の養豚場にいつどのような経路でウイルスが侵入したかが焦点となる中で、野鳥やネズミなどの野生動物に付着して感染拡大した可能性が浮上している。

 県の2018年の調査では、防鳥ネットや金網などの野生動物対策を取る農家は107農場中90農場で、割合としては84・1%と高い。だが今回の豚熱の感染ルートを調べる国の疫学調査チームによると、県内3例目の農場を除き、県内発生農家で防鳥ネットが設置されていなかった。

 県内1例目の発生農家で採取された鳥のふんから、豚熱の陽性反応を示すウイルスが検出されていた。鳥のふんに後からウイルスが混ざった可能性も考えられるが、農林水産省の担当者は「ウイルスに汚染された豚やイノシシのふんを鳥がついばみ、早い期間で鳥のふんとして出てきた可能性もある」と話す。

 県畜産課によると、県内5例目の発生農家は飼養衛生管理の意識が高く、長靴の履き替えや農場への出入りの際の消毒も徹底していた。だが、防鳥ネットが一部設置されていない部分があり、「鳥の侵入に備えて早めにネットを設置するよう指導をしていた」(県畜産課)と話す。

 豚熱やアフリカ豚熱(ASF)対策で農水省は、2月中をめどに改正される家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準で、イノシシや野鳥などの野生動物の侵入を防ぐ防護柵や防鳥ネットの設置を農家に義務化する。対策を講じない農家には罰則も検討する。防鳥ネットの設置義務は11月から適用される見込みだ。

 農水省は防鳥ネットの整備にかかる費用の半額を補助する。これを受け、県も補助の上乗せを検討する方針。県畜産課の仲村敏課長は「今の状況を見ると、セキュリティーを強化する必要がある。農家負担がないように仕組みを作らなければならない」と話した。