首里城遺構、5月に一般公開 沖縄県、正殿のがれき撤去へ


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全焼した首里城の正殿前で焼け残った一対の大龍柱と階段に転がる焼け焦げた柱。奥は南殿・番所=4日午前、那覇市(ジャン松元撮影)

 沖縄総合事務局と県、沖縄美ら島財団は4日、火災で全焼した首里城正殿の地下にある遺構を5月のゴールデンウイークに一般公開すると発表した。5日から正殿跡の周辺に積まれた灰やがれきを撤去し、瓦や文化財の分別、収集に向けた準備を始める。安全確保ができた時点で御庭(うなー)周辺エリアの段階的な一般公開を目指す。鉄骨が焼け残った北殿や南殿、黄金御殿と寄満は解体する。4日、御庭内を報道陣や首里地域の自治会関係者、観光、設計・工事関係者に火災後初めて公開した。

 公開された正殿では、灰が約30センチ積もり、熱によってひしゃげた鉄骨がむき出しになるなど、痛ましい光景が広がっていた。県土木建築部の宜保勝参事は「客が安心して観覧する施設を設置し、そのタイミングにしか見られない首里城を公開していく」と話した。

 地下遺構は火災前、ガラス張りの正殿床から来訪者が見学できるようになっていた。火災後はがれきが入り込み、ブルーシートが敷かれている。

全焼した首里城周辺を見学する自治会関係者ら=4日午後、那覇市の首里城公園

 今後は砂を遺構に入れる「覆砂」をして保護をする。また、火災で焼け残った「大龍柱」の背後には傷やひびがはいっているとして、2月中旬から応急処置を実施する。

 財団によると、昨年12月の首里城への入園者は前年同月比49・2%の11万9421人だったが、1月は同73・3%の18万8419人と増加傾向にある。財団は「(入園者は)徐々に戻りつつある」とした。

 県警は1月29日、現場から発見された遺留物46点を科学捜査研究所で鑑定したが、火災原因を特定できなかったと発表した。

 那覇市消防局はこの遺留物のほかに、1月下旬までに現場から収集した残さ物の整理を行い、近く出火原因の調査内容を会見で発表する。

 県は消防の発表後、再発防止策を検討する第三者委員会を迅速に設置する方針だ。