今季のプロバスケットボールBリーグで大きな存在感を放つサンロッカーズ渋谷。琉球ゴールデンキングスでも活躍した、県出身の伊佐勉ヘッドコーチ(HC)、山内盛久、渡辺竜之佑の“沖縄トリオ”がコート内外から躍進を支えている。現在、リーグ最激戦区の東地区で23勝12敗。1月の天皇杯では山内、渡辺が持ち味を発揮し、5年ぶりの優勝に導いた。
2007―08シーズンから10年間、キングスでアシスタントコーチ(AC)、HCとして指揮を執った伊佐HCは17―18シーズンに渋谷ACに就任。低迷していた18―19シーズン途中にHCに就任した。
今季の渋谷は、これまでチームの中心だった元NBA選手のロバート・サクレが退団したことに伴い、チームカラーを刷新。「動ける選手を取り、5人でリバウンドもいけるチームにした」(伊佐HC)とセバスチャン・サイズや千葉の石井講祐、新潟の渡辺らハードワークをモットーとする選手を獲得し、前線からプレッシャーをかける全員バスケを目指した。
結果、開幕5連勝で最高のスタートダッシュを切り、A東京や千葉、宇都宮と強豪ひしめく東地区でトップ争いを繰り広げている。その中で伊佐HCが「流れを変えられる選手で、最近は安定感がより一層出てきている」と、ゲームコントロールで全幅の信頼を置くのが山内だ。
川崎ブレイブサンダースと対戦した天皇杯決勝では、勝負どころでアシストや3点弾を決め、日本一に貢献。接戦となった最終盤ではベンドラメ礼生と交代して試合を落ち着かせた。現在29歳。ベテランとなり「一番意識するのはミスをしないこと。礼生には伸び伸びとプレーしてほしい」と自身の役割を見詰める。
積極的なプレーで強度の高い守備や攻撃リバウンドに貢献する渡辺は「全員で守り、攻めている」とチーム戦術へのフィットに好感触を示す。「1試合で1本は絶対スチールを決めたい」と気合十分だ。
3月21、22の両日には沖縄市体育館でそれぞれの古巣キングスと対戦する。Bリーグ王者を目指す伊佐HCは「キングスのホームで連勝は難しいかもしれないが最低でも1勝はしたい。いい試合を見せたい」と展望した。
山内は「キングスホームの雰囲気が分かるだけに怖さはあるけど、のまれないようにしたい。強い気持ちで臨む」と闘志を燃やす。渡辺は「成長した姿を見てもらいたい」と満面の笑みで語った。 (長嶺真輝)