農業「機能しなくなる」 JAおきなわ30店舗廃止計画 農家悲鳴 反対署名も 「若手頑張ってるのに…」


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 【本部・大宜味】JAおきなわの店舗統廃合案で、実質的な閉鎖が計画されている本島北部の本部支店(本部町)や大宜味支店(大宜味村)に関して、地元の農業関係者からは「支店がなくなったら農業が機能しなくなる」など反発の声が上がっている。本部町では、農家の代表として支店との連絡役を担うJA本部支店運営委員会(比嘉由具委員長)が、閉鎖阻止へ署名活動に乗り出した。

署名活動の書面を前に「支店閉鎖は絶対阻止しなければならない」と語る本部支店運営委員会の比嘉由具委員長=6日、本部町

 農業関係者によると、JAおきなわが1月20日、北部の各支店の運営委員長らを集めて統廃合計画を説明した。本部支店は2021年4月に、現金自動預払機(ATM)を残して信用・共済部門は名護支店に統合する方針という。ATMで扱えない取引は週2回の「移動金融店舗車」巡回で担い、購買部門は週5日の営業から週2日に削減するという。

 本部支店運営委員会の比嘉委員長は「以前から営業時間短縮の話はあったが、いきなり『赤字支店は閉める』と説明されて驚いた。年金をJAに預け、窓口担当者を頼りにしている高齢者も多い。弱い者いじめだ」と憤る。運営委員会は「支店の閉鎖は、暮らしや農業生産力を高めるために組合員が協同するJAの理念に反する」などとして今月5日から町民対象に反対の署名活動を始めた。広く呼び掛けて署名を集め、JAおきなわに提出する考えだ。

 本部町農業委員会の知念一義会長は「町は今、青年農業者の育成に注力しており、若手が22人まで増えたところだ。町の農業関連事業はJAを通して農家を補助するので、町に支店がなくなるとうまく回らなくなる」と懸念する。町内でヘチマなどを栽培する30代男性は「台風対策の部品を買ったり害虫が発生したら薬品を買ったりと、購買部の利用は急を要することが多い。毎回、名護などに買いに行く余裕はない。せっかく若手が頑張っているのに、困ったことになる」と表情を曇らせた。

 同様に廃止が検討されている大宜味支店について、同支店運営委員会の平良嗣男委員長は「説明会でいきなり廃止方針を示され、到底納得できない。組合員への事前の説明もなく、順番がおかしい」と不信感をあらわにした。
 (岩切美穂)