沖縄科学技術大学院大学(恩納村、OIST)の研究や地域貢献活動を支援するため、OIST財団が米国で設立された。米国で個人や企業・団体から資金を募り、活動のために使われる。教育や雇用の拡充など、財団の資金が沖縄の発展を後押しすることも期待される。ピーター・グルース学長に今後の活動の展望や、沖縄の振興・発展のために実現したいことなどを聞いた。
―OIST財団が設立された背景は。
「OISTの活動をさらに促進させるためにも、柔軟性のある資金を活用できないかと考えていた。米国は個人の寄付の文化が根付いている。OISTに寄付するための法的な財団を立ち上げて、理事会のメンバーには日本や沖縄と関わりの深い人たちに入ってもらった。財団の目的は活動を後押しすることだ。科学者の研究支援だけではなく、女性のキャリアをサポートしたり若い世代のリーダーを育成したりと、幅広い目的で資金を使える。日米を科学でつなぐ役割も果たせるはずだ」
―OISTが沖縄の振興のためにできることは。
「県内の学校で出前授業をやって、科学が人類のために何ができるか子どもたちに伝えている。サイエンスフェスティバルも開催しており、多くの家族連れが足を運んでいる。実験を見た子どもたちは、いつも笑顔を輝かせている。文化や芸術関連のイベントも開いて県立芸術大学などの活動に協力している。OISTで働く県民の数も増やしたいと考えている。直接の雇用だけではなく、さまざまな業務を通じて、間接的な雇用も生み出したい」
―OISTの発展のための構想は。
「キャンパスにイノベーションパークを整備したい。そこに起業を考えている世界中の若者を集め、プロジェクトをやってもらう。技術も生かしながらアイデアを商品化したり、資金を呼び込んだりすることが可能になるだろう。国際的な企業と関係を構築することも必要になる」
―今後の沖縄での地域活動について聞かせてほしい。
「沖縄のためにできることは数多くあると思う。新たな企業を呼び込むことで、沖縄の成長にもつなげられる。高レベルの環境で県民が働くことができれば、よりよい未来を築き上げることができる。多くの人が働くことで、地域の活性化や自治体の税収増加にもつながるはずだ」
(聞き手・平安太一)