上原兼善氏に東恩納寛惇賞 近世琉球の政治、貿易史研究


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上原兼善氏

 沖縄研究の先駆者・東恩納寛惇の功績をたたえ、沖縄を対象とした研究の発展に顕著な功績を挙げた研究者に贈る第37回東恩納寛惇賞(琉球新報社主催、第一書房後援)に、岡山大名誉教授の上原兼善氏(75)=岡山県=が決まった。

 専門は日本近世史・琉球史。琉球を巡る国際的な政治史や薩摩、琉球、清朝の貿易期に関する先駆的な研究で、島津氏の琉球侵略の全体像や琉球を介した物流の実態を明らかにするなどの研究業績が評価された。

 上原氏は那覇市出身。琉球大卒業後、高校教員、宮崎大助教授などを経て1981年に岡山大教育学部助教授、96年から2010年まで同大教授を務めた。第30回伊波普猷賞を受賞。16年出版の「近世琉球貿易史の研究」が17年に日本史分野で卓越した研究成果を顕彰する角川源義賞、日本近世の研究書を対象とする徳川賞、日経・経済図書文化賞をトリプル受賞した。

 選考会は1月27日、琉球新報社で開かれた。選考委員は赤嶺政信琉球大教授、豊見山和行琉球大教授、田里修沖縄大名誉教授、赤嶺守琉球大教授、上原靜沖縄国際大教授。

 贈呈式は21日午後6時から、那覇市の琉球新報ホールである。