首里城正殿にスプリンクラー設置へ 技術検討委 資材は国産ヒノキで再建


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 首里城復元に向けた技術検討委員会(委員長・高良倉吉琉球大名誉教授)は個別の技術的課題を議論するワーキンググループ(WG)のうち、防災WGと木材・瓦類WGの初会合が7日、沖縄総合事務局で開かれた。防火措置としてスプリンクラーによる初期消火は必須だとの認識で一致し、今後、設置箇所や個数について具体的に議論することを確認した。火災報知器や屋内消火栓についても増設の方向で検討する。

 また、木材の調達については、前回の復元時に使用したタイワンヒノキは伐採が禁止されているため調達が難しいとして、国産ヒノキを主に使用することも確認した。

 国会議員らが台湾政府にタイワンヒノキの供給を要請していることについては、高良委員長は「タイワンヒノキを排除するわけではないが、伐採禁止の議論は無視できない」と説明した。

 瓦については、県赤瓦事業協同組合の試算によると、焼失した正殿や南殿、北殿などに瓦を使う場合、約50万枚が必要で、原料となる泥岩(クチャ)の量は約2千トンと見積もっているが、沖縄総合事務局は、関係機関との連携を図り、行政所有地の採掘場提供、公共工事で発生する残土の提供などがあれば確保は可能だとした。火災現場の瓦は再利用せず、展示などで活用することで調整しているという。

 高良委員長は会合後、記者会見し「正殿は木造で復元するので、初期消火にはスプリンクラーが絶対に必要だとの認識で一致した」と強調。その上で「消火活動に龍潭池の水などを消火に使えないかとの意見も出た。城壁は消火活動に支障になったわけではない。ホースを連結する仕組みを作ればいい」と述べた。

 技術検討委員会は本年度中にも中間報告を取りまとめ、政府に報告する方針。