沖縄関係で年間約700万人の旅客を運ぶ日本航空(JAL)グループ。日本トランスオーシャン航空(JTA)、琉球エアーコミューター(RAC)などのグループ企業を中心に地域密着の事業を展開し、島々をつなぐ生活の足だけでなく、国内外とのビジネス交流や観光の活性化に寄与する。6日に来県した日本航空の赤坂祐二社長に沖縄路線の可能性や那覇空港第2滑走路の利用開始後の展望などを聞いた。
―沖縄の位置付けは。
「航空の国内市場は今は好調だが、今後人口減少や少子高齢化が進み伸び悩む。その中で沖縄は国内事業における成長ドライバーだ。旅への関心が高まっているインバウンド(訪日外国人客)や若者層に人気がある。リピーターも多く、今後の成長が見込まれる。国内に訪れる年間の訪日外国客は約3千万人だが、国は2030年までには倍の6千万人という目標を掲げている。6千万人を首都圏や関西圏だけで受け入れるのは厳しい。今後受け入れの鍵を握るのは地方だ」
―那覇空港第2滑走路の利用も始まる。
「第2滑走路の利用開始で、キャパシティーの拡大を期待している。まだ今すぐに実行できる計画はないが、沖縄旅行の需要は今後も高まり発着枠も増える。需要に合わせて供給は増やしていこうと思う。観光を中心に多方面から投資が増えるのではないか。沖縄に直接参入してくる海外のキャリアも増えるだろう」
―沖縄路線拡充の可能性はあるか。
「特に沖縄発着の国際線を検討していく。まずはチャーター便で需要の掘り起こしをし、将来は定期運航につなげたい。まずは沖縄アジア地域から取り組みたい」
―地域貢献活動にも積極的だ。
「社会貢献活動はビジネスだと見ている。地域の問題はわれわれにとっても死活問題となる。地域の活性化が路線就航にもつながる。これから壁となるのは人材不足だ。JTAが運航するベトナムへのチャーター便は、単なる送客だけでなく、優秀な外国人材を沖縄に送り込むことも計画している」
「LGBTや世界自然遺産登録への取り組みの背景には、欧米客の誘客につなげたいという意図がある。まだ欧米での沖縄の認知度は低いが、一度来ればファンになると思う。今年は東京オリンピック・パラリンピックの開催があるなど、世界に沖縄をアピールするチャンスになる」
(聞き手 中村優希)