琉球王朝と昆布が日本の近代化果たす 奥井海生堂社長の奥井隆さん 〈琉球フォーラム〉


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 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・玻名城泰山琉球新報社長)の2月例会が12日、那覇市のホテルロイヤルオリオンで開かれた。福井県敦賀市の昆布製造販売「奥井海生堂」の社長・奥井隆さん(71)が「近代昆布ロード~沖縄から中国へ~」と題し、日本の近代化の過程で昆布と沖縄が果たした役割などについて語った。

 昆布はかつて、ロシアや北海道の沿岸でしか採れない貴重な海藻で、江戸時代に日本海側で交易をしていた北前船が世間に広めた。北前船は、地方の情報や価格の格差を利用して大きな利益を上げ、貨幣経済を発展させたと紹介した。

奥井隆氏の講話に聴き入る琉球フォーラムの会員ら=12日、那覇市安里のホテルロイヤルオリオン

 奥井さんは、中国で薬として人気だった昆布に目を付けた薩摩藩が、琉球王朝と中国の関係を利用し密貿易をしていたと説明。そこで得た富が江戸幕府を倒すための資金になったとして「琉球王朝と昆布の力で日本が生まれ、近代化を果たした」と述べた。

 敦賀市や北海道など北前船の寄港地は2017年に文化庁の日本遺産に認定された。琉球王朝と中国との交易が「華々しい利益を稼いだ北前船に最後の花を咲かせた」と話し、「北前船の交易ルートはシルクロードにも匹敵する壮大なもの。沖縄も加わってもらい、本当の意味での北前船交易文化圏をつくりたい」と連携を呼び掛けた。