設立から5年、沖縄から「維新」が姿を消したわけとは…


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下地幹郎氏

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、日本維新の会の対応に反発した県総支部所属の県議、市町村議全員が党本部に離党届を提出した。2013年の設立からわずか5年で「維新」の看板は県内から姿を消す事態となった。今回、離党届を提出した議員は県議2人を含む10人。いずれも総支部代表だった下地幹郎氏と行動を共にしてきた議員で、6月の県議選を前に、政党としての維新の看板に頼るのではなく、県内で一定の求心力のある下地氏の下に再結集した方がメリットが大きいと判断した。

 IR事業を巡る汚職事件では、下地氏が贈賄容疑のある中国企業側から現金100万円を受領したとして除名された。現金受領が発覚以降、松井一郎代表が下地氏に議員辞職を要求するなど突き放す態度を取り続けてきた党本部に対する県総支部所属議員の反発は大きい。

 12日の会見で県総支部幹事長を務めていた當間盛夫県議は離党届提出に至った決め手について「下地氏の除名処分が大きい。離党なら戻る可能性があり、我々としても戻ることができる道筋をつくりたかったが、除名なら戻る可能性はほぼない」と語るなど、党本部への不満をにじませた。

 一方、離党届を提出した議員の支持者からは無所属で選挙戦を戦うことに対する不安に加えて、「党名がころころ変わる」(維新関係者)ことに対する有権者の政治不信を懸念する声も聞こえる。

 会見で當間氏は県議選を含めた今後の選挙戦について、これまでと同様に、自民、公明と連携した枠組みで臨む考えを示したが、今回の離党が今後の県内政局に与える影響は未知数の部分もあり、波乱含みとなっている。
 (吉田健一)