「闘争心は今はない」「やる理由も分からない」 勝っても気持ち上がらず 比嘉大吾、模索続く


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試合後の控え室でリラックスした表情で記者の質問に答える比嘉大吾

 試合の開催が決まった時や前日計量の時と同じように、試合後の比嘉は充実感よりも「緊張感もない。何もない」と「無」を強調した。さらに「18歳の時に世界王者になるんだと東京に来た時の闘争心は今はない」と付け加えた。

 2018年4月の防衛戦で計量失敗とプロ初黒星、活動停止処分、そして、長年指導を受けてきた野木丈司トレーナーが離れ「自分でやるのも限界あるし、俺サボるの好きなんで、ケツたたかれないとできないと思い知らされたし」「モチベーションも上がらず、やる理由も分からない」と、1月の会見からは取材の度に言葉を選ぶようになっていた。

 勝ってなお、気持ちが上がらない。そうした姿にトレーナーの友利正氏は「自分のパンチも重いが(階級上げで)相手も耐える。早く倒したい気持ちがあったけど、試合には良かった部分もあるよ」と明るい表情で語った。陰のある表情を見せる比嘉だが友利氏は「ボクサーなら誰でも通る道。挫折を繰り返し、そこからはい上がったやつは強い。大吾はグンと上がってグンと落ちた。上がるのに時間かかるだけ」と温かく見守る。

 やる気に満ちあふれた比嘉のリズム良いボクシングを再び見るため、「あいつのテンションを上げて、自分からやるように支えるだけさ」と静かに語った。