教育
沖縄からSDGs

性別による格差、なくすためには?【SDGsって? 知ろう話そう世界の未来】5


 世界経済フォーラムが毎年発表している男女格差指数「ジェンダーギャップ指数」で日本は2019年、前年の110位から順位を下げて153カ国中121位となった。政府を挙げて女性活躍の推進が進められてはいるが、国際的に日本の女性の地位は低い。県内の民間企業や県庁などでも女性の管理職の割合は10%弱。家庭では「長男主義」が根強い傾向もある。持続可能な開発目標(SDGs)の目標5は「ジェンダー平等を実現しよう」。みんなが生きやすい社会を目指す動きが、県内でも始まっている。



位牌継承、男性問題の側面も

宮城晴美さん 大学非常勤講師

 ジェンダー平等の実現に目を向けた場合、沖縄で特徴的なのは、長男への継承を重要視する祖先の「トートーメー(位牌(いはい))」問題だ。タブー視されてきた過去に比べると女性がトートーメーを持つことも増えたが、嫡子(長男)が継承するという慣習は根強い。トートーメー問題などに詳しい大学非常勤講師の宮城晴美さんはタブーに縛られない継承を提唱、自身でもトートーメーを持ち実践している。

 宮城さんによると、トートーメーは15世紀に琉球の王家に伝わり、その後、士族や一般にも広がった。嫡子による継承が理想とされたことから、長男を排除することや娘に継がせることはタブーとされた。


自宅で両親のトートーメー(位牌)を持っている宮城晴美さん=13日、那覇市

 戦後、1957年に沖縄でも女性の財産相続が認められる新民法が施行されると、女性団体などが女性による継承権を訴えるなどして世論は盛り上がった。ただ、慣習を厳格に守らせる考えは強い。宮城さんは「今でもタブーを破るとたたりだと言われる」という。そのためか、男性が継ぐべきとする意見が常に一定割合で存在する。

 トートーメーを巡っては、財産を分けてもらえないことや結婚すると男児の出産が求められるなど「女性の不利益」の側面が語られがちだが、宮城さんは「男性の問題であることも大きい」と指摘する。

 実際、記者も同様な体験をしている。トートーメーを継がなければならない「長男の長男の長男」という理由で県外大学への進学を断念、就職活動は県内を優先、自宅は和室に仏壇を設置する場所を確保した。トートーメーを継承する嫡子は相続などで優遇される場面もあるかもしれないが、自分の時間が削られたり、金銭的・精神的な負担になったりして「重荷に感じる」人もいる。

 一方、祖先や親とのつながりを実感できるなど、トートーメーを継承したいという声は性別にかかわらずある。長男がいるものの両親のトートーメーを持つ宮城さんは「家族みんなの合意があればいいと思う」と語る。

 先祖を敬う気持ちが同じであれば、性別や生まれた順番にかかわらず、家族の合意を経て継ぎたい人が継げるという柔軟な対応が、今後トートーメーの持続可能な継承につながるだろう。

(仲村良太)




女性が力発揮できる職場へ

県経営者協会女性リーダー部会

 県内でも女性を含めた誰もが働きやすい環境を求める動きがある。県内約300社が加盟する沖縄県経営者協会の女性リーダー部会は2018年度に「働く女性の意識調査」を実施した。目的は女性が働きやすい社会をつくるためにどのような環境整備が必要か、改善策を発信することだ。

 調査結果から、9割がステップアップに前向きな姿勢を示し、職場環境への不満としては給与や人手不足のほかに「仕事の属人化」「男性主体の働き方」が挙がった。女性リーダー部会の富原加奈子部会長は「社内に宝石(優秀な人材)が眠っている。彼女たちが能力を発揮できる環境づくりが重要です」と指摘する。


県経営者協会女性リーダー部会の幹事会=2019年12月、那覇市小禄の県産業支援センター

 女性リーダー部会はさらに昨年9月、在沖米国総領事館などとタイアップし「世界に学ぶ働き方のしくみ」をテーマに、県内の外資系ホテルなどで働く管理職らを招きパネルディスカッションを開催した。

 「時間内にできて当たり前。残業すると『なぜ時間内にできないのか』」を考える外資系企業の価値観は新鮮に映った。働き方改革の波の中で、残業は減りつつあるが、長時間労働にみられる“昭和的”な働き方からの転換ポイントとして、富原部会長は(1)人事評価の再検討(2)「この人しかこの業務はできない」という属人化を解消する業務分担(3)(フレックス制度など)柔軟に働ける職場環境をつくること-を挙げる。

 「意識して育てていくことが大事。女性が入ることで効率的に働ける職場となり、結果的に生産性が上がるだろう」と話す。

 過去の成功体験に基づいた働き方は「男性でも育児を楽しみたい」「忘年会はスルー(欠席)したい」「長時間労働は敬遠したい」と思う若い世代には受け入れづらくなってきている。

 令和の時代に合った働き方は、女性がやりがいをもって活躍できる道が開かれる一方、「男性なのだからこれくらいは…」と求められる重責から男性を解放する可能性もある。新たな労働価値観で働く人たちに合わせた経営の転換が求められている。

(知花亜美)




官民とも女性管理職1割

 県庁の女性管理職の割合は2019年4月時点で部長級が5.3%、統括監級で6.3%、課長級で15.4%と9割以上男性が占めている。部長級の枠が18年まで16人だったが19年から19人と増えたものの、過去5年女性部長は1人にとどまっている。

 一方、帝国データバンク沖縄支店の調べで、県内民間企業(62社が回答)の課長級以上は平均7.2%(19年)と前年の6.8%より微増した。管理職の割合が全員男性という県内企業は43.5%で、まだまだ官民共に女性登用は進んでいないのが現状だ。







SDGsとは…
さまざまな課題、みんなの力で解決すること


 世界が直面しているさまざまな課題を、世界中のみんなの力で解決していこうと2015年、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が決められた。

 「持続可能な開発」とは、資源を使い尽くしたり環境を破壊したりせず、今の生活をよりよい状態にしていくこと。「貧困」「教育」などと整理し、17の目標を立てている。

 大切なテーマは「誰一人取り残さない」。誰かを犠牲にすることなく、全ての人が大切にされるよう世界を変革しようとしている。

 視線を未来に向け、日常を見直すことがSDGs達成への第一歩になる。






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