三菱UFJ銀行が沖縄で営業担当を増員する方針を決めたわけとは… 岩本浩司那覇営業部長に聞く 〈焦点インタビュー〉


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
岩本 浩司氏

 三菱UFJ銀行は4月をめどに、県内に常駐する新規顧客開拓の営業担当者を増員する方針を決めた。人口の増加や那覇空港の第2滑走路利用開始など、さらなる成長の可能性を秘める沖縄で企業支援を強化するという。事業承継や県外・海外展開など、県内企業が抱える課題の解決にも注力する。同銀行那覇営業部長の岩本浩司氏から、今後の事業方針や県内経済の先行きなどを聞いた。

 ―沖縄でやりたいことは。

 「三菱UFJグループが有する国内外のネットワークを生かして、県内企業の成長や事業承継のお手伝いができる。個人向け取引のニーズがあるのならば銀行内で議論することも必要だが、現時点では法人などの要望に応えることを優先したい。沖縄の企業は真面目で、地に足が着いた経営をしている。取引をしていても安心できる企業ばかりだ。これからは県外や海外へ展開する会社が育ってほしいと考えている」

 ―県外や海外展開のために必要なことは。

 「自社の力だけで勝負しようとしても激しい競争にさらされたり、物流コストが重荷になったりして簡単には進まない。それよりも、県外や海外に提携先を探すことでリスクを軽減できる。仮に県外や海外の事業から撤退する場合でも、業務提携の場合なら負担は軽くなるはずだ。いいパートナーを見つけて足場を築ければ、将来的には独自で事業展開できる。これまで県外の企業が沖縄に進出するケースを多く見てきたが、沖縄の企業がなかなか県外や海外に行けないことに悔しさを覚えていた。県内の企業が将来を見据えた経営をする際に、さまざまなサポートができる」

 ―今後の沖縄経済をどう見るか。

 「沖縄経済は好調で右肩上がりに伸びてきた。そんな中で不動産価格は上昇し、人手不足などの課題も出てきた。県外や海外の企業が沖縄に進出しても地元経済への還流は十分とはいえず、好景気の恩恵を受けられないまま厳しい経営環境になる企業も出ている。今のままでは県経済が踊り場に突入する可能性もある。県内企業が利益を上げて、県民所得が向上し、消費が活性化する好循環を生み出さないといけない」

 「これからも多くの観光客が沖縄を訪れるはずだ。人が増えることでチャンスも拡大する。好景気をうまく取り込める企業が出る半面で、恩恵を受けられない企業が出るなど、二極化することも考えられる。観光客の増加など景気のいい流れをつかむことが、県内企業にとって重要なテーマとなるはずだ」
 (聞き手 平安太一)