PFOS目標値、1リットル当たり50ナノグラム 厚労省検討会が水質基準承認、4月から適用


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PFOS、PFOAの暫定目標値について話し合う委員ら=19日、東京都内

 【東京】PFOSなど発がん性が指摘される有機フッ素化合物の水道水質基準を議論している厚生労働省の有識者会議「水質基準逐次改正検討会」は19日、東京都で会議を開き、暫定目標値として1リットル当たり50ナノグラム(PFOS、PFOAの合計値)とする厚労省案を承認した。今後、パブリックコメントの実施や3月末にも開く厚生科学審議会生活環境水道部会を経て4月1日から適用する方針だ。国の基準値の中で最も厳しい水準の値になるという。

 暫定目標値の設定に合わせて、PFOS、PFOAは水質基準では2番目に厳しい「水質管理目標設定項目」に位置付けた。国が水道事業者に対して水質基準に準じた検査に努めることなどを求める。

 情報や知見の収集にとどまる、これまでの「要検討項目」よりも引き上げられる。だが、引き続き法的拘束力や目標値の順守義務はない。

 世界保健機関(WHO)がPFOSなどのガイドライン値を定めていないことから、暫定目標値の算定に当たっては米環境保護庁(EPA)が耐容1日摂取量(人が毎日摂取しても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量)とする体重1キロ当たり20ナノグラムを健康影響評価の値に採用した。これに日本の水質基準を設定する際の計算式を当てはめ、1リットル当たり50ナノグラムを導き出した。