さらに感染拡大の恐れ 新型肺炎2例目の男性、乗船客と接触後も勤務


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那覇港に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=2月1日、那覇港

 沖縄県内で2例目となる新型コロナウイルスの陽性反応が、県内のタクシー運転手の男性に確認された。その感染確認までの詳細な経緯が関係者への取材で判明。男性は感染源とみられるクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客複数人と2度にわたって接触していた。男性は10日まで勤務を続けていたとされ、さらなる感染拡大の可能性がある。

 関係者によると、男性は那覇市内のタクシー会社に勤務。感染したとみられる1日は夜勤シフトで、午後8時ごろ同市牧志の国際通り付近でクルーズ船乗客4人を乗せ、同10分に同市若狭の那覇クルーズターミナルで降ろした。さらに同市曙でクルーズ船の乗客2人を乗せ、同9時に再び同ターミナルで降車させた。その後、男性は10日まで勤務を続けたが、11日になって発熱。いったん出社したが体調不良を訴え、勤務せずに帰宅した。この日以降は出勤しておらず、18日になって症状が悪化し、感染症指定病院の救急を受診したという。

 男性が所属するタクシー会社の幹部は本紙取材に、「本人には持病があると聞いている。陽性が明らかになった時点で構内全部を消毒した」と明かした。

 県はウイルス感染が広がる中、5日の段階で男性の所属会社ほか県内130社が加盟する「県ハイヤー・タクシー協会」に、クルーズ船の乗客を乗せた運転手の運行記録を提出するように要請。同協会は応じて記録を出したが、男性の記録は含まれなかったという。

 協会幹部はこの点について「乗客が下船したターミナルまで向かった車両の記録は取ったが、男性は調査対象の時間帯から外れていた。追加で聞き取りをした際も本人の記憶が曖昧で確認が遅れた」と説明した。

 一方、協会幹部は発熱などの症状があった場合のみウイルス検査に応じる保健所の対応について、「感染の不安を訴える運転手も門前払いにされた」と指摘。業界内での感染拡大が懸念される現状に「国や県の防疫体制はどうなっているのか」と訴え、「当初からしっかりした感染予防の指針を示してもらえれば対応も違った。うちも被害者だ」と不満を漏らした。