「重層的にSDGs推進」 公開シンポ 知事講演、活発質疑も


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 国際ボランティア学会の第21回学術大会公開シンポジウム「誰一人取り残さない社会の実現を目指して」が22日、西原町の沖縄キリスト教学院大学で開かれた。玉城デニー知事も参加して、県が全庁を挙げて推進するSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みについて考え方を語り、来場者との間で活発な質疑を交わした。

国際ボランティア学会公開シンポジウムで基調講演する玉城デニー知事=22日、西原町の沖縄キリスト教学院大学

 基調講演した玉城知事は「子どもたちを健やかに育み、命を大切にする社会をつくっていきたい。誰一人取りこぼさないために、網の目をもっと小さくする。県が取り組んでいるものを重層的に組み合わせ、SDGsを推進しようと考えた」と取り組みの背景を語った。

 後半は玉城知事、JICA沖縄の佐野景子所長、キリスト教学院大の玉城直美准教授が登壇し、会場からも“直球”の質問を受け付けた。

 質問した男性は「全ての世代が取り残されている。沖縄戦を体験したお年寄りが文字の読み書きができないのも見てきた。学び直したい時に県がサポートしていける政策が必要ではないか」と投げ掛けた。

 玉城知事は自身の母親も戦争で勉強ができなかったことに触れ、「学べるチャンスがあると自分から学んでいける環境をつくっていきたい」と答えた。

 西原町の中学校に通う生徒は行政が支援する海外留学プログラムが無くなったとして、「小学生から英語を頑張っていたのに不公平ではないか」と訴えた。

 玉城知事が「市町村がやむを得ず別の分野に予算を振り分けたのだろうが、いただいた示唆は大きい。どうすれば市町村がその不公平をなくすことができるか、県庁に持ち帰ってしっかり考える」と答えると、会場から大きな拍手が送られた。