妖艶、荒々しさ、繊細、恐怖… 5人のダンサーが織りなす情感たっぷりな舞 TAMATE箱の10周年公演


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「ハレルヤ」の曲に乗せて、幻想的に舞うダンスプロジェクトTAMATE箱のメンバー=23日、那覇市のアトリエ銘苅ベース

 ダンスプロジェクトTAMATE箱の結成10周年を記念した公演「QUINTET(クインテット)2020~5人がおりなすダンスの五重奏~」が22、23の両日、那覇市のアトリエ銘苅ベースであった。県内外で活動するダンサーの内間るり子、大城志奈子、知花幸美、比嘉環、茉莉花の5人が、奇抜で情熱的なダンスを見せた。コンテンポラリーダンス・アーティスト「赤丸急上昇」の赤松美智代、丸山陽子も出演し、ユーモアあふれる作品に会場を沸かせた。23日を取材した。

かぶり物を身に着け、「静」を基調とした踊りを披露した赤丸急上昇

 前半はソロで踊った。5人は卓越した表現力で体を動かし、観客の目をくぎ付けにした。大城は繊細で秀逸な舞を観客に見せた。知花は息を荒らげながら転がったり、駆け抜けたりした。内間は壮大な音楽に乗せて意気揚々と舞った。地面から体を起こし、徐々に立ち上がる姿は生命の息吹を感じさせた。

 比嘉は悲しみや恐怖、怒りを表情に出して荒々しく踊った。茉莉花はハイヒールを脱ぎ捨て、井上陽水の「傘がない」の曲に乗せて妖艶な動きを見せた。その動きは「傘がない」の歌詞に沿って、現代社会にあらがうような舞だった。

 中盤はゲストの赤丸急上昇が舞台に立った。それまでの激しい動きのTAMATE箱とは異なり、「静」を基調とした踊りを披露した。滑稽な顔をしたかぶり物を身に着け、人形のように動く赤松と丸山はMr.Childrenの「しるし」のメロディーに合わせてゆっくりと動き、切ない人形の恋を表現した。

 トリは「ハレルヤ」の曲に乗せて5人で情感たっぷりに舞った。藍染めを施した衣装を身に着け、祈りを込めるように舞い、最後は遠くをじっと見詰めて、幕を閉じた。

 5人は所属、経営するバレエ教室でも、斬新で個性豊かな創作バレエを生み出している。今後も新たな可能性を信じて「TAMATE箱」から出てくる感動的な作品を作り出してほしい。
 (金城実倫)