豚熱6例目 環境中にウイルスか 専門家「防疫体制強化を」


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 うるま市で発生した6例目の豚熱(CSF)は、前回から23日ぶりの確認だった。豚熱が発生した養豚場では消毒作業など防疫措置が完了し、終息に向かうさなかでの感染だった。専門家はウイルスが環境中や豚の体内に潜んでいた可能性があるとみている。今後はワクチン接種やアグーの隔離を控えており、感染経路の究明が急がれる。

 農林水産省によると、豚熱の潜伏期間は個体差があるが、3~21日で感染が確認されている。ウイルスの生存期間は条件によって異なるが、一般的に紫外線や高温の環境では死滅しやすいという。

 一方、琉球大学農学部の佐野文子教授は「ウイルスは数カ月生存する場合がある」と指摘する。6例目の発生に関して、環境中にウイルスが潜んでいたり、ウイルスを保有したまま発症しない豚がいたりしたことで、新たな感染につながった可能性があるという。

 県畜産課によると、土や肉類の中など有機物がある環境で、低温の状態であればウイルスの生存期間は長くなるという。県獣医師会の工藤俊一会長は「ウイルスはどこに潜んでいるか分からず、どこにでも飛び火する可能性がある。飼養衛生管理基準を守り、防疫体制をしっかり取ってほしい」と呼び掛けた。

 国内で26年ぶりに豚熱が発生した岐阜県も、制限区域が解除された後に新たな発生を確認した。同県の担当者は「野生イノシシの防護柵など緊急対策を講じて飼養衛生管理基準を徹底したが、収まったと思った時に環境中にウイルスが潜んでいた」と豚熱終息の難しさを説明した。