「盗掘 背景に植民地主義」 琉球人遺骨訴訟 松島氏が陳述


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 昭和初期に今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から持ち出された遺骨を保管している京都大学に遺骨の返還と損害賠償を求めた琉球遺骨返還請求訴訟の第5回口頭弁論が27日、京都地裁(増森珠美裁判長)であった。原告団長の松島泰勝龍谷大教授が意見陳述し「遺骨が盗掘された原因の一つに、琉球に対する植民地主義がある」などと述べた。次回は6月18日に開かれる。

 松島教授は遺骨が当時の県警察部などから許可を得て持ち出されたとされていることに対し、1879年の琉球併合(「琉球処分」)以降の経緯を挙げて「日本人と琉球人の不平等な関係を利用して遺骨が盗掘された」と主張した。

 遺骨持ち出しの背景として日本軍731部隊などに関連した「京都大学による戦争犯罪」「学知による人種差別主義」があったと指摘し、京都大を批判した。

 その上で「今でも祭祀(さいし)の対象になっている墓地に、遺骨を戻すことを心底から訴える」と強調した。

 原告側は裁判所に提出した準備書面で、遺骨が持ち出された当時の刑法が墳墓損壊を禁じていたことなどを挙げ、遺骨を京都大学が保管していることは違法だと主張した。