石垣陸自配備で住民投票の実施を 全国の憲法学者や弁護士が声明 石垣市に手続き中止求める


この記事を書いた人 問山栄恵
石垣市への陸上自衛隊配備計画を巡る市有地売却の方針や住民投票を実施しないことに抗議する声明を発表した呼び掛け人の(右から)高良沙哉沖縄大学教授、小林武沖大客員教授、賛同人の飯島滋明名古屋学院大学教授=28日午後、沖縄県庁

 沖縄県石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り、全国の憲法学者や弁護士の有志80人は28日、陸自配備計画の賛否を問う住民投票で住民の意思が示されるまでは予定地にある市有地を沖縄防衛局に売却、貸し付けするための手続きを中止するよう求める声明を発表した。石垣市は市有地を沖縄防衛局に売却するための議案を市議会3月定例会に提案している。

 声明では石垣市の動きについて「住民の意思を無視し、国の方針に即応して従属するものであり、憲法における地方自治の本旨である住民自治、団体自治に反する」と指摘した。

 呼び掛け人の高良沙哉沖縄大学教授は「この問題に取り組んでいる石垣市民は決して孤立していない。石垣市の行っている住民無視の政治を全国の法律家たちは注視している」と強調した。

 住民投票を巡っては、市住民投票を求める会が2018年、地方自治法に基づき有権者の約4割に当たる1万4263筆の署名を集めて直接請求したが、市議会が19年2月1日に住民投票条例案を否決。求める会は同年9月に住民投票の実施を求める訴訟を那覇地裁に提訴した。石垣市の自治基本条例で定められた住民投票に関する条文の解釈を巡って、求める会と市で対立している。【琉球新報電子版】