「ボクはお母さんを支えます」 乳がんと闘う母へ 小学生の息子が手紙に思いつづる


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川満優子さん(左)に贈った手紙が最優秀作品賞に選ばれた天翔さん(右前)と父誠さん(同後)=28日、沖縄市立宮里小学校

 【沖縄】「ボクはお母さんを支えます。大好きです」。沖縄市立宮里小学校4年の川満天翔(てんしょう)さん(10)が母・優子さん(45)に書いた手紙がこのほど、「ファミリーマートありがとうの手紙コンテスト2019」の九州・沖縄ブロック中学年の部で最優秀作品賞に選ばれた。手紙には乳がんを宣告された優子さんへの思いがつづられた。28日、同校で表彰式が開かれ、優子さんと父・誠さん(48)も見守った。

 天翔さんが小学校2年生のころ、優子さんは手術を受けた。当時、病気のことは分からなかったが、通院する姿を見て次第に理解し始めた。がんのことを知らされた時のことを天翔さんは「先の見えない真っ暗なトンネルを歩いているような気持ちでした」と振り返っている。

 毎年、短冊には「がんが転移しませんように、痛みを和らげてください」と書いている。天翔さんは不安を抱えながらも笑顔を絶やさない優子さんが大好きだ。気象庁の観測船に乗る誠さんは1年のうち約280日海に出ており、自宅には帰れない。「身体は小さいですが、心はだれにも負けません。ボクはお母さんを支えます」。天翔さんは手紙でこう伝えた。

 優子さんが宣告を受けた時、5人の子どもの顔が浮かび、病院のトイレからしばらく出られなかったという。術後、がんの転移は確認されていないが、不安は残る。「子どもたちの笑い声が支えになっている。私にとっての命薬(ぬちぐすい)だ」と涙を浮かべて語った。

 作品は3月24~30日、全国のファミリーマート店内で朗読が放送される予定だ。


川満天翔さん(宮里小4年) 母への手紙全文

 「ボクのお母さん」

 ボクの家族は、7人家族です。お父さんは、仕事で家にいません。お母さんが、ボク達5人を一人で育ててくれています。ボクのお母さんが「乳がんになりました」。

 お母さんが余命を伝えられた時は、先の見えない真っ暗なトンネルを歩いているような気持ちでした。「健康あればなんでもできる、健康のありがたさを大事にしてね」とお母さんがよく言います。

 毎年、七夕の日にたんざくにお願い事を書くと、願いがかなうと聞きました。ボクは、たんざくにお願い事を書きました。「がんがてんいしませんように、いたみをやわらげて下さい」と。残された時間という不安で心が折れそうになることもあっても、お母さんはボク達のために「笑顔」です。ボクはまだ身体は小さいですが、心はだれにも負けません。ボクはお母さんを支えます。

 「ありがとう、感謝の気持ちでいっぱいです」。大好きです。