石垣島陸自配備1年 これまでの経緯は? アセス逃れで事業着手強行


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 石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り、防衛省の配備打診から4年以上が経過している。2015年11月に若宮健嗣防衛副大臣(当時)が中山義隆市長に配備を正式に打診した。配備への賛否が割れる中、打診から約1年後の16年12月、中山市長は「配備に向けた諸手続きを開始することを了承する」と表明した。

 17年5月には施設配置案を提示するなど防衛省が配備計画を進展させる一方で、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会が配備反対署名を市に提出するなどして、配備の“既成事実化”に対抗した。

 配備計画への立場が最大の争点となった18年3月投開票の市長選では、賛否を明確にせずに選挙戦に臨んだ中山市長が配備に反対する候補らを破り、3選を果たした。配備に反対する予定地周辺住民との対話を重視する考えを示したが、周辺住民の反発が依然強いまま、同7月には配備の受け入れを表明した。

 18年9月の市議選では一部を除き配備賛成の自民や慎重姿勢を示した公明などの与党が、予定地にある市有地を沖縄防衛局に売却するために必要な過半数の議席を確保した。配備に向けた政治的条件が整う中、配備への賛否を問おうと市住民投票を求める会が18年12月に有効署名1万4263筆で住民投票実施を請求したが、市議会は19年2月、住民投票条例案を否決した。

 19年3月1日に沖縄防衛局は、取得した一部民有地(約0・5ヘクタール)で建設工事に着手。18年に改正された県環境影響評価条例は20ヘクタール以上の土地で土地造成を伴う事業を環境影響評価(アセスメント)の対象にしていたが、経過措置として同年度中に一部でも事業着手すると対象から除外されたため、「アセス逃れ」との批判が巻き起こった。