1週間続いた頭痛から救急搬送、3度の手術、抗がん剤治療を乗り越えた17歳 迎えた仲間との卒業式


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
同級生に囲まれ、一緒に卒業を喜ぶ國場翔太郎さん(右から3人目)=1日、那覇市の首里東高校

 沖縄の県立高校で卒業式が開かれた1日、祝福の言葉であふれる会場に、首里東高校の仲間と卒業を祝い合う國場翔太郎さん(17)の笑顔があった。2年生への進級を目前にした2年前、脳にある松果体の胚細胞腫瘍と脳内に水がたまる非交通性水頭症と診断された國場さん。つらい治療や不安を乗り越えて迎えた、同級生や双子の兄・清太郎さんと一緒の卒業に「本当にうれしい」と喜びをかみしめた。

 2018年3月、國場さんは1週間ほど続いていた頭痛が悪化し、病院へ救急搬送されたその日に手術が行われた。「よく覚えている」というその日について「病気を初めて聞いたときはいきなりすぎて全く理解できなかった」と話す。

 その後、3カ月にわたる入院で3度の手術を経験。10時間を超える腫瘍の摘出やつらい抗がん剤治療、リハビリに耐えて学校へ復帰した。その後は筋力の低下や物が二重に見える複視と闘いながらも、支援員や同級生、教員らの支えもあり学校生活を楽しんだ。

 「最初は諦めていたけど卒業できたのはいろんな人のおかげ」と話す國場さん。病を克服し「将来は誰かのために力になりたい」と猛勉強の末に合格した大学への進学を心待ちにする。

 多くの困難を乗り越えて迎えた春。「怖いかもしれないけど諦めずに頑張ってほしい」。病気と闘う子どもたちにエールを送った。(下地陽南乃)