自分信じ技術磨く ビーチバレー平良 全て懸け五輪狙う


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ビーチバレーボールで東京五輪を目指す平良伸晃(23歳、南小―平良中―宮古高―新潟・フォーラム情報アカデミー専門学校出)が9日からワールドツアードーハ大会に参戦する。結果によっては日本ランキングが入れ替わり、東京五輪代表決定戦へと大きく近づく。平良は「生活の全てを懸けている。何が何でも五輪に出たい」と大一番に挑む。

東京五輪へ意気込む平良伸晃

 小学2年生で両親やきょうだいの影響でバレーボールを始め、中学3年生で県選抜に選ばれるなど、順調に力を伸ばしてきた。しかし、県選抜は腰の疲労骨折で出場できず、高校進学後もけがに苦しめられた。

 転機は宮古高2年の3月だった。リハビリのために浜辺を走っていた時、偶然ビーチバレーのコートを見つけた。けがから挽回しようという時期に、「出会った」と感じたという。3カ月の練習ながら高校3年6月の県内予選を勝ち抜き、全国16強の成績を残した。

 砂場に足が取られたり、ボールが風の影響を受けたり「今まで教えられた世界とは全く違った」。未知の世界への好奇心から、ビーチバレーの特待生を募集している新潟の専門学校を探し出し、進学した。

 在学中、16年リオ五輪の優勝者を動画で見たことが「希望になった」という。優勝者は平良と身長差がほとんどなく「技術を磨けばもっと上にいける」と思えたからだ。五輪は漠然とした夢から目標に変わった。平日のトレーニングや休日の社会人チームとの練習で力をつけた。17年にアマチュア国内最高峰のサテライト平塚大会を史上最年少で優勝。「在学中に結果を残す」という目標は達成した。

 卒業後もアルバイトをしながら、U23サテライトチャンピオンシップで優勝、ワールドツアー(フィリピン)に参戦し準優勝など実績を積んでいった。金銭や練習時間に制約がある中、夜行バスで移動費を浮かせてまで大会に参加する日もあったが、「この環境でもやれたのは自分だからこそ」とプライドを持つ。現在もコンビニでアルバイトをしながら、スポンサー獲得に駆け回っている。

 

国内大会でボールに食らいつく平良伸晃(提供)

 昨年7月からランキング15位の静岡出身の佐藤亮太と組み、「お互いを分かっていないと難しい」という高度なプレーを目指す。反則になりやすいオーバートスで相手のリズムを崩したり、コートを幅広く使ったり、世界水準に合わせたスタイルを確立しようとしている。「競技の話は3時間も止まらない」というほど相性は抜群だ。結成1カ月以内で国内トップのジャパンツアー松山大会で2位に輝いた。

 東京五輪の代表枠を狙い「FIVB開催国枠ランキングポイント」を獲得するために国際大会を転戦している。5月23日の代表決定戦は、上位6ペアが出場する。現在、平良は個人12位、佐藤は15位だ。ペアのランキングポイントを合わせると出場に近いラインにいる。決定戦は「出れば勝つ」と自信はある。

 9日から参加するワールドツアードーハ大会はトップレベルの選手が世界中から集まるため、高ポイントを期待できる。直前の国際大会(イラン)が政治的理由で中止になったこともあり「何が起こるかわからない状況だけど、やれることはやってきた。目の前の大会に全力を尽くす」と表彰台を狙い、五輪へ弾みをつける。 (古川峻)