石垣市議会、損害金巡り紛糾 与党市議の市有地無断使用で 野党「忖度働いた」と批判


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 【石垣】石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画に関して、与党市議が防衛省に土地を売却・賃貸した旧ゴルフ場が隣接する市有地を無断使用していた件で、市が同市議に請求した損害金の算定根拠を巡り、議会が紛糾した。10日の市議会一般質問で野党の花谷史郎氏が追及し、市は確認と答弁調整のため休憩を重ねた。花谷氏は損害金が低く算定されているとの見解を示し「市民は自衛隊を推進する人に忖度(そんたく)が働いたと思うのではないか」と批判した。

 無断使用された市有地は、行政財産に分類される約2千平方メートル。市は民法に基づき10年分の賃料相当損害金として約50万円を請求し、納付された。本来は貸し付けできない行政財産のため算定基準がなく、公有財産規則に定められた普通財産の貸付料を準用して算出したと説明した。花谷氏は行政財産の使用料を定めた市使用料条例があると指摘し「条例を無視して規則を当てはめたのか」と追及した。

 山田善博農林水産部長は条例を基に算出する際に必要な当該土地の時価の把握ができていないとした。また「契約に基づく条例なので、過去にさかのぼって(適用)できるものではないと思う」と述べた。

 花谷氏は「時価が分からなければ調べるのが筋ではないか」と指摘。遡及(そきゅう)適用できないとの見解を「根拠がなく、意味不明だ」と批判した。その上で使用料条例の計算式に近隣での売買価格を当てはめた場合、少なくとも損害金は実際の請求額の約3倍、悪質性があるなどと判断された場合は約70倍になるとの独自試算価格を提示した。

 この試算に中山義隆市長は「10年前はその時の時価がある」などと疑問を呈したが、花谷氏は「無断使用していたのに、契約していないため安い基準を当てはめるということに市民は納得できない」と市の姿勢を批判した。