臨時休校中の子たち スマホ依存 防ぐ対策を<佐藤優のウチナー評論>


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 新型コロナウイルスによる感染拡大を防止するために小中高校と特別支援学校が臨時休校になっている。この休校期間中の自宅学習について、生徒や保護者からよく質問を受ける。各人の学習進捗(しんちょく)状況や個性によって勉強法は異なってくるので、的確な回答が難しいが、一般論としては以下のように考えている。

 小学校1~3年生は、勉強について特に考える必要はない。

 小学校4~6年生に関しては、教科書に準拠したドリルを購入して、今まで勉強した内容の復習をすることを勧める。タブレットを用いた電子教材を使ってもいい。算数の計算と漢字の書き取りを重視するといい。

 中学生になると勉強がかなり難しくなる。特に数学と英語は積み重ね方式になっているので、欠損箇所があると先に進めなくなる。だから、教科書の復習を中心に勉強するといい。教科書は、読めば理解できる構成になっているが、教師が教えることを想定して作られているので記述が簡潔だ。よくわからないときは教科書ガイドを購入するといい。教科書の練習問題には模範解答がついていないが、教科書ガイドには模範解答もしくは回答を導くヒントがついているので役に立つ。

 高校生になると、難関校の生徒を含め、英語もしくは数学、あるいはその両方に知識の欠損が生じている例がほとんどだ。中学生と同じ方法で勉強するといい。

 数学に関して、数1、Aでつまずいている人は、中学の数学教科書の復習をするといい。特に三角関数がわからない生徒の場合、例外なく中学数学の図形が十分に理解できていない。高校英語の教科書はコミュニケーションが中心となっている。大学に進学することを考えている人は英文法か総合英語の参考書を購入して、文法に関する知識を整理しておくことを進める。

 臨時休校の期間のカリキュラムについては、学校が再開されてから取りこぼしがないような教育が行われるので、心配する必要はない。知識の欠損箇所をチェックして、それを埋める作業に集中することを勧める。

 気をつけてほしいのは、この期間にスマートフォンやインターネットゲームに時間を費やし、依存症になってしまうことだ。この点については、保護者も十分に問題意識を持ってほしい。中山秀紀『スマホ依存から脳を守る』(朝日新書)、岡田尊司『インターネット・ゲーム依存症―ネトゲからスマホまで』(文春新書)を読んでいただければ、スマホ依存が児童・生徒の将来に極めて深刻な悪影響を及ぼすことがわかる。臨時休校期間中に児童・生徒がスマホ依存症にしてはならないという問題意識を県と教育委員会に持ってほしい。

(作家・元外務省主任分析官)