保育士「休ませてと言いづらい」 新型コロナ休校 政府の「準備不足」のしわ寄せが


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子どもたちと遊ぶ保育士=11日、糸満市の認可外保育施設「子育て相談保育室バク」

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府による要請で県内の小中学校が休校措置となった一方、開園を求められた保育現場では事業者や保育士に大きなしわ寄せがきた。特に小中学生の子どもがいる保育士は負担が大きく、自身の子どもの預け先に困る状況も生じた。認可外保育施設は職員数も少なく、休校措置で休みを取らざるを得ない職員もおり、園の運営に支障が生じたケースも。保育関係者からは「あまりにも準備不足で、保育の現場に配慮がなさ過ぎだ」と政府の措置に憤った。

子育て中

 糸満市の認可外保育施設「子育て相談保育室バク」は職員9人のうち8人が小中学生の子育て中で、低学年の児童を抱える保育士も多い。臨時休校中も職員同士で休みをやりくりしたり、時短で勤務したりするなどして対応した。
 小2の子を育てる30代の保育士は11日、午後3時過ぎに勤務を切り上げた。「祖父母に預けて出勤しているが(祖父母も)通院中で負担もかけられない。2年生なので一人で家に置いておくわけにもいかない。園児の保護者の負担も大きいので『休ませて』とも言いづらい」と困惑する。

認可外園は

 認可園などの中には各家庭に「家庭保育」を呼び掛ける動きも出た。一方、認可外保育施設のほとんどが保護者からの月謝で運営しているため、この園は休校期間中も通常保育を続けてきた。高村滋人園長は「認可外園は保護者に『家庭保育』を呼び掛けるわけにもいかない。なんとか運営しているものの、保育士の負担は大きい」と語った。
 県認可外保育園連絡協議会の末広尚希会長は、政府の対応に「保育士など以前から処遇改善が求められている職業にしわ寄せがきている」と指摘。「なぜ保育園は『休園』ではないのかという問いに(政府は)誰も答えていない。本土では保育園で感染した例もある中で説明も不足している。今回の措置は国民全体のためとは言い切れず、残念だ」と語った。
  (池田哲平)