「ダブルハンド」の小学生兄弟ボウラー プロ注目「小学生が投げるボールに見えない」


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両手投げで豪快な投球を見せる下地良尚=10日、那覇市のサラダボウル(喜屋武研伍撮影)

 小学生ボウリングの下地良尚(よしなお)=沖縄県那覇市立城東小6年、良佳(よしてる)=同2年=兄弟が注目を浴びている。共に「ダブルハンド」と呼ばれる両手投げのフォームで昨年6月の全沖縄小学生競技大会は兄が優勝、弟が準優勝で史上初となる兄弟でワンツーフィニッシュを果たした。良尚は日本一になったこともある。2人をよく知るプロボウラーの宮城鈴菜選手(Typhoon)は「みるみる成長している。いずれは世界一のボウラーになると信じている」と大きな期待を寄せる。

 近年、県内ボウリング界ではジュニア競技のレベルが急激に向上してきた。そんな中注目される2人は、今や国際大会などで主流になっている「ダブルハンド」の選手だ。良尚は小学4年時に全国小学生大会で準優勝、5年は優勝、昨年は準優勝と好成績を残してきた。宮城プロの夫の阿部基成プロ(ラウンドワン)は「ダブルハンドは誰でもできる投法じゃない。小学生が投げるボールに見えない」と絶賛する。

力強い投球を見せる弟の良佳

 県ボウリング連盟の理事で、国体の監督を務めたことのある父・良信さん、競技者の母・綾乃さんの下で育った。ボウリング場は遊び場の一つ。当時2歳の良尚は「本当に楽しそうで、止めるまでずっと投げ続ける」(良信さん)ほどの熱中ぶりだった。夢中になると2時間以上もボールを転がし続けたという。

 家ではボウリング番組「Pリーグ」が当たり前のように流れている。競技について語り合う時間も多く、いつも身近にボウリングがある。両親の指導方針は「諦めなければ良いことはある。怒らない」。子どもの意見を尊重する環境の中で、兄弟は競技に必要不可欠な粘り強い精神力を養ってきた。

 良尚は小学4年の途中までバックスイングしないダブルハンドをしていた。初出場で準優勝の快挙を成し遂げた全国大会だったが「このままではスピードが速くならない」。1カ月後には、体を大きくねじりボールに球威と回転量が増すフォームへ変えた。底なしの向上心も成長を加速させている。

父の下地良信さん(右端)と一緒にトップ選手を目指す長男の良尚(左)と次男の良佳

 良佳は兄の背中を追い、競技を始めた。意地を張って兄の助言を突っぱねるほどの「負けず嫌い」。小学生大会で準優勝した時は「ゾーンに入ってた」(良信さん)と本番での勝負強さを発揮した。まれに兄を越えるスコアを出すなど、秘めた爆発力がある。

 多い時は週5日以上練習場に足を運び、練習に打ち込むという2人。それでも気負いはなく、良尚の夢は「ユーチューバー」、良佳は母に憧れ「看護師」を目指している。父の良信さんは「いつか2人で(ペアを)組んで、優勝する姿を見たいね」とうれしそうに話し、2人が揃って全国大会の表彰台に上がる姿を夢見ている。
 (喜屋武研伍)