「誰もが学べる場に」 エジプト公民館が5月開所へ ピラミッドがある古代遺跡の街に 日本のNPOが計画


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公民館を整備するプロジェクトの説明会に訪れたエジプトの人々=1月16日、エジプト・アスワンの国立アスワン大学(「グローバル公民館」ホームページより)

 那覇市の繁多川公民館を運営するNPO「1万人井戸端会議」による、エジプトに公民館を整備するプロジェクトで、モデルとなる最初の公民館の場所がカイロ・ギザ地区のアパートに決まり、5月に開所する見通しとなった。カイロのアインシャムス大学と連携して学びを支える人材の育成にも取り組んでおり、同大での第1回公開講座が2月28日~3月6日に行われた。将来的には沖縄の公民館職員を現地の公民館へ継続的に派遣し、エジプト側と日本側が互いに向上できる体制の構築も目指している。

 エジプトは格差が大きく、誰もが学べる場として公民館が求められているという。プロジェクトは、2019~20年度は文部科学省の「日本型教育の海外展開推進事業パイロット事業委託費」を活用して実施する。繁多川公民館の講座で公民館の役割を学んだカイロ在住のモハメッド・アブデルミギードさん(通称ギドさん)が1万人井戸端会議と共にモデル公民館を整備、運営する。21年度以降はギドさんが会社を立ち上げて運営する予定だ。

プロジェクトの一環で行われた公開講座=2月28日、エジプト・カイロのアインシャムス大学(ギドさん提供)

 1月にはカイロの日本大使館と二つの大学でプロジェクト説明会などを開催した。現地ではギドさんを中心に、プロジェクトを支援する小学校教員や大学生ら約20人のチームが立ち上がり、公民館の開設準備や公開講座の運営などに取り組んでいる。プロジェクトは現地メディアにも10回ほど取り上げられ、反響が大きいという。

 アインシャムス大と連携する人材育成は、持続的な取り組みにするため、日本の大学も加えた協定を結ぶ予定だ。シックスオクトーバー大、アスワン大とも協定締結に向けた協議が始まっている。

 繁多川公民館館長で1万人井戸端会議代表理事の南信乃介さんは「今後は国際協力機構(JICA)の支援を得てアラブ・アフリカ諸国に公民館を広げたい。また沖縄の公民館職員をエジプトに派遣し、スキルアップができるようにしたい」と目標を語る。「エジプトの公民館は格差を解消し、夢を持てる社会の実現を目指している。日本側にとっても学べることがある」と話した。