戦没者遺骨DNAを県内で鑑定を 沖縄相、拠点設置に意欲


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 【東京】戦没者の遺骨の身元を特定するため国が実施しているDNA鑑定を巡り、衛藤晟一沖縄担当相は19日の参院沖縄北方特別委員会で、鑑定を県内で実施できるよう事業を行う厚生労働省へ働き掛ける考えを示した。「沖縄では沖縄のもの(遺骨鑑定)がやれるようにしなければいけない」と述べ、県内に鑑定の拠点を設けることに強い意欲を示した。厚労省は、現在同省職員が行っている鑑定に必要となる検体の選別について、専門家を関与させる方針を示した。

 戦没者のDNA鑑定を巡っては現在、四肢骨などの検体を東京へ送り、国が委託している12の研究機関に分配して鑑定を実施している。厚労省は本年度、県が仮安置所で保管している最大700人分の遺骨も鑑定対象に含めるとし、鑑定に必要な検体を厚労省職員が選別して東京へ送る作業を進めている。これに対し、遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表らは、検体選別に専門家が関与することや、県内での鑑定実施を求めていた。

 衛藤氏は答弁で、宜野湾市の西普天間住宅地区跡地で琉球大医学部と同付属病院の移転を核とした沖縄健康医療拠点整備が進んでいることに触れながら、鑑定実施の拠点になり得る場所を示唆した。他にも厚労省が所管する医療施設があることから、多角的に検討するとみられる。

 質問した秋野公造参院議員(公明)は、ガマフヤーの遺骨収集作業ですでに協力体制がある法医病理学会の専門家が、遺骨収集後の作業となる検体対象部位の選別やDNA鑑定にも関わるようになれば、相互の連携が深まり「鑑定の円滑化につながる」と意義を語った。