予定の水質調査実施せず 沖縄防衛局 嘉手納基地周辺のPFAS汚染問題


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 米軍嘉手納基地周辺の浄水場や河川で高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)が検出されている問題を巡り、沖縄防衛局が2019年内に予定していた水質調査を実施していないことが20日までに分かった。18年度に基地への立ち入りを米軍に申し入れたが許可を得られず、時期をずらして19年に米軍の許可が不要な基地外で調査を実施する予定だった。防衛局は本紙の取材に「米側と調査方法などを調整している」と回答したものの、調査を実施しなかった理由は明らかにしなかった。

 調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)の河村雅美代表が情報公開請求の過程で確認した。河村代表は「16年に県企業局が汚染を発表してから4年たつが、防衛局は現地で根本的な解決策を何もできていない」と指摘した。

 計画では19年末に調査を終えている予定で、同年度予算にも計上していた。20年度予算に調査費はなく、今後の実施は未定。防衛局は本紙の取材に「日本政府全体・米国防総省における取り組みを踏まえ、米側と調査方法などを調整している」と述べた。調査を実施しなかった理由は明確にしていない。厚生労働省などが目標値設定を検討していることや、米国防総省内にこの問題に注力する「タスクフォース」を設置していることを両政府の取り組みの例に挙げた。

 防衛局は17年度と18年度の2年度連続で米軍の許可を得られず嘉手納基地内の水質調査を断念していた。県内で有機フッ素化合物による汚染問題が表面化してから4年が過ぎ、防衛省は北谷浄水場の改良費に補助金を交付したものの、抜本的な対応を取ることができていない。 (明真南斗)